
空蝉の淵――
緋色の空――
シルキーズプラスWASABIの「あけいろ怪奇譚」の感想、ご紹介です。
- タイトル:あけいろ怪奇譚
- ブランド:シルキーズプラスWASABI
- 原画:すめらぎ琥珀
- シナリオ:かずきふみ
- ジャンル:学園七不思議解決ADV
- 発売日:2016年3月25日
萌えゲーアワード2016 ミステリアス作品賞 受賞
あけいろ怪奇譚 感想
あらすじ
四人の女生徒が立て続けに自殺した。
公式サイトより引用
その衝撃的な事件は一部の生徒たちの間で不謹慎な盛り上がりを見せ、いつしかこう噂されるようになった。
四人の女生徒は学園の七不思議の一つ、『旧校舎の幽霊』に呪い殺されたのだ……と。
多くの者にとってはくだらない噂であり、その他大勢の一人である佐伯社にとってもそうであった。
しかし、社には無視しきれない理由があった。
四人の女生徒が自殺してから、奇妙な夢にうなされるようになったのだ。
熟睡することができず、日に日に、自覚できないほど緩やかに衰弱していく中、社の前に一人の少女が現れる。
ベルベットと名乗った不思議な少女は、社に告げる。
――あなた、呪われている。
『あけいろ怪奇譚』デモムービー
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
ななリンの世界と同じ世界。
その世界の、とある学園の七不思議が物語の根幹。
主人公はななリンの加賀見家の商売敵の霊能事務所にお世話になることに。
前作ななリンのキャラも登場するので、
ななリンをプレイしてるとその部分においては楽しめる。
プレイしてなくても、ななリンキャラが出た時にサブキャラとして
認識して話は読めるけど、プレイ済みなら理解が早いので。
ただ、もちろんその要素は
作品的にはプラスにもマイナスにもなる要素で。
ななリン知ってないと無理って程ではないんだけど、
ななリンの設定に頼ってる部分もあるのは確かなので。
そこを意識しなくても霊的な事象を追うホラー作品として
シナリオのボリューム・構成は中々のもの。
ななリンとはベクトルの違う恐怖感がある。
多少のグロ要素もあるので、苦手な方は注意。
個人的にはOP見て大丈夫なら大丈夫かと思う。
CGについて
作風的に怖いものは怖く、
可愛いものは可愛く。
怖いと言うよりは不気味方面。
BGMについて
雰囲気抜群のBGMもちらほら。
十分なレベル。
システムについて
今作はシーンジャンプはある。
でもやっぱりバックログジャンプは必要だと思うの…。
それ以外は特に不便無し。
- 前作(ななリン)はやったけど、本作はまだの方。
- キャラの掛け合いが面白い作品が好き。
- 伝奇ものの作品が好き。
以下、ななリン含むネタバレあり。
ネタバレあり感想
エンディング・CG回収の為の作業が非常に多かったなぁと。
主人公の性格というか性質は、ちょっと難あったなぁって印象。
思い詰めたり、すぐにやる気になったり、
でもやっぱり沈んでたり、自棄になったり。
呪いやら霊的な事象に立ち向かうって事で
感情の浮き沈みが激しいこと自体は別に良いんだけど、
その頻度が各ルート通常の作品より多いイメージでイラっと来る場面もあった。
何やっても情緒不安定過ぎない?みたいな印象。
シナリオは文句無い尺・内容だったけど、
それ故に、繰り返しの悪い印象が付いたイメージ。
ただ、全編通じて、
主人公・佳奈・修司の日常のやり取りは面白かった。
以下個別攻略順。
ベルベット(CV:風音)

私の初回プレイはバッドでベルベット死んじゃいました。
ただ朱子にいたぶられ続けて最後に刺し違えるとか…悲しいね。
確かにラスボスは倒したけど
主人公の周りは元通り、親しくした人も離れていき悲しい感じに。
バッド以外では、ななリンの加賀見家へ。
懐かしいと共に、確かに世界が同じなんだなぁと思える。
ただ、琴莉がいないのはちょっと寂しいと思う。
そういう世界線だから仕方ないと思うけどさ。
ななリンプレイ済みの方は、
成長した加賀見家の面々が見れて満足するポイントかと。
特に私は葵大好きだったので嬉しい。
ていうか、あの面々が最強過ぎてびっくりする。
こういう要素があるので、
前作プレイ推奨にはなってしまう部分もあるけど。
まぁプレイしてなくても普通に話に入っていけるとは思う。
ベルベットが加賀見家の鬼と自分を比較して、
その心情に対して主人公が想いを告げるのは良かった。
覚醒ベルベットのCGは美しかったね。
展開は愚直だけど、そのストレートさが良い。
まさかの花子さんの最期に少し感動してしまった。
ベルベットもすっごい良いんだけど、
葉子が印象に残ったルートだった。
るりとるか(CV:結衣菜)

めっちゃ可愛いやん…トイレの花子さんズ。
もとい、神さま。地主神。(とこぬしのかみ)
献身が凄い神さま。
ノーリターンなのに凄い。
つくねさん可愛いね。
こういうサブキャラ?がいるのも良いね。
設定も何故か懐く野良猫の霊と合致がいくし、
この作品の世界観が広がる。
朱子問題が片付いてからの日常は面白いと言うか、安心する。
るりるかルートは、2人の生い立ちから境遇までの話が短く、
それ故に感動ではないけど、純粋に良い話だったなって思えた。
まぁエピローグが全てかなぁと思った。
いつもるりるかが言ってた「社は私たちの神様です」が刺さる。
また、るりるかが悲しみで泣いたのはここだけで、それも刺さる。
つくねさんが最後に現れたのも良い演出だった。
葛城 葉子(CV:杉原茉莉)

凄いラスボス感漂うキャラだったなぁって。
料理スキルも高くて万能なお母さんみたい。
あけいろ側のボスがこの人なら、ななリン側のボスは伊予。
終盤にそのボス同士、飾らぬ会話をしてたの良かった。
覚醒葉子さんかっこよすぎた。
ベルベットもそうなんだけど、
強そうな人が予想通り強い真の姿を見せるベタな展開ではあるけど、
とにかく葉子自身が良いキャラしてるのでOK。
トゥルーではないんだけど、一番好きなルートだった。
美里死んじゃったし、全然ハッピーエンドではないんだけど。
色んな感情と起承転結、素晴らしいバランス。
確かにななリンの世界上の物語だけど、
あけいろキャラ達が輝いていた。
最高でした。
久住 美里(CV:上田朱音)

主人公の霊障の影響でぶっ倒れて、それをどうにかする話。
何故美里が呪われたかは、ちゃんと伏線があった。
るりとるかの祠に祈ったシーン。
主人公にかかる厄の身代わりになる、と。
あと、何故美里の方が主人公よりも強く呪いの症状が出るのかも
他ルート合わせればしっかり分かるのも良いね。
ルートとしては良いルートだった。
ちゃんと美里に焦点を当ててるし、
変にななリン要素が濃いこともなかったし。
はっちゃけた美里がハイテンション変態で面白かったし。
葉子ルートとの展開の対比も面白かった。
葉子ルートもだけど、
美里ルートもあけいろ独自の路線を行ってて良かった。
雛森 佳奈(CV:萌花ちょこ)

佳奈の立場って作品的に難しいよね。
ただ霊視の力があるだけで加賀見家に居るけど、
鬼の力は自由には借りれないって。
それでもちょっとななリン要素に頼り過ぎたルートだったかなぁって。
作品の性質上仕方ない部分ではあるのだけど。
シナリオ的にはどうしても
主人公とルートヒロインを使いたいって思惑は分かるんだけど、
ここまで明らかに失敗ばかりして、
他と違ってたいした力も無い二人を
最後まで出しゃばらせるのは何か違うなって思ってしまった。
個人的に凄いグダグダ感を感じてしまって。
話自体は好きなんだけど、そこに至るまでのストレスが酷かった。
ただ、〆は良かった。
ななリン要素に頼り過ぎたって上述したけど、
〆はきちんとあけいろだった。
望先輩にはサイコパス賞をあげたいです、個人的に。
佳奈のバッドエンドはそうなんだろうなと
予想させた上での最後のあのCG。
久しぶりにヒェッ!!ってなったよ。
トゥルーは全ルート見てから、佳奈からの派生。
神田川徹と3人の自殺者が予想通りクズだったと分かるだけの話。
トゥルーとしてはパンチに欠ける、そんな印象。
逆にそう感じたのは、ここまでの話がパンチが効いていた証でもある。
全ルートやったなら内容的にはこれしか残ってないから仕方ないよねって思う。
作品として残った疑問を晴らす、そういう意味では良い話だった。
一緒に、逝きましょう。生きましょう。
それを貫いてくれた、この作品に感謝。
あけいろ怪奇譚 感想 総評
ななリンの世界があってこその作品だけど、それだけに終始しない作品でもある。
ななリンやった人にはもちろん、そうじゃない人にも広くおすすめ出来る作品!
演出も良いので、シナリオも良いホラーミステリーやりたいなぁって方には特におすすめ!
以上、あけいろ怪奇譚の感想でした!
挿入画像 FANZA GAMES / 公式 より引用
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