
私、名探偵をやるよ!
シルキーズプラスの「ふゆから、くるる。」の感想、ご紹介です。
- タイトル:ふゆから、くるる。
- ブランド:シルキーズプラス
- 原画:あめとゆき / なのはなこひな
- シナリオ:渡辺僚一
- ジャンル:学園SFミステリーADV
- 発売日:2021年9月24日
ふゆから、くるる。 感想
あらすじ
「えっ?
しほんちゃんが死んじゃうかもしれないってどういうこと?
ええっ? しほんちゃんの頭部がなくなっちゃったの?」しほんちゃんの首無しの胴体が瞑想室でみつかったらしいのだ。
「でっ、でも、四十八時間以内なら首の再接続って可能だよね。
えっ? 頭が見つからないの!?
だっ、誰かが隠したの? わかんないって? そっ、そんな……」殺人は珍しい話じゃない。
だって、学園に一人くらい殺人鬼はいるものだもん。人を殺すのはいいけど、頭部を切断して隠す、というのは絶対にやっちゃいけないタブーだ。
そんなことされたら蘇ることができなくなってしまう。
蘇生を阻止される殺し方をされるほど、
しほんちゃんが誰かに恨まれていたなんて信じられないよ。どにかして二日以内に頭部を見つけないと、しほんちゃんが本当に死んでしんじゃう!
そんな現実は絶対に受け入れない!
今はショックを受けたり、泣いたりしてる場合じゃない!私にはできることがあるはずだ!
「そんなのやったことないけど……。わっ、私!」
私がしほんちゃんの頭部を必ず見つける!
「私、名探偵をやるよ!」
外部と隔離された全寮制の学園。
──そこで生活するのは不死の少女達。
彼女らは大人になると同じ時間をかけて赤ん坊になるまで幼くなり、再びに大人になるまで成長し再び幼くなる、というサイクルを繰り返している。
学園からの卒業条件はただ一つ。
外部で観察している何者かから天才だと判断されること。
その判断が下された瞬間、少女は卒業を認められて学園から姿を消すことになるのだ。不死の少女達の平穏な学園生活は、とある殺人事件によって大きく狂い始める。
なぜ少女達は不死なの?
どうして成長したり幼化したりするの?
学園に閉じ込められてどのくらいの時間が経過したの?
どうして首を切断されても生き返ることができるの?
天才になれなかった少女はどうなるの?
外の世界はどうなっているの?
少女しかいない理由は?
男はどこにいるの?
死ぬって何?
生きるって何?
命ってなに?なんのために、命、ってあるの?
──事件の鍵となるのは針。
とじ針。棒針。ミシン針。
絹針。つむぎ針。がす針。
ふとん針。洋服針。釣り針。
待針。Tピン。革三角針。針に導かれて、不死の少女達が死んでいく。
公式サイトより引用
『ふゆから、くるる。』オープニングムービー
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
ファッキンの四季シリーズ的なものの冬の作品。
今までの作品が全て特徴的でぶっ飛んでるので、待ってた人も多いんじゃないかなーと。
ご存知ない方向けにご説明しますと、本作は春夏秋冬の4つの季節にフィーチュアした連作の内の冬の作品です。(各作品独立しているので、続きものではないです。)
春、夏、秋がそれぞれ2012年、13年、16年に発売しています。
どの作品もある一定の「ぶっとんだ設定」がある、とても面白い作品になっています。
で、本作も最初から割りと意味不明な思考に付き合わされて。
思わず、こいつら(ヒロインたち)イカれてんのか?って思っちゃう。w
あらすじ時点で既にぶっ飛んでることもあり、
その時点でいつも通り何かが違うなとは思わせてくれる。
日常について言うと…
キャラの心情的な地の文が多く、会話も多いのだけど…ちと冗長。
内容がスッと入ってきたり笑えたりすれば問題無いのだけど、そういう感じではない。
面白くなるのは、しほんが殺された辺りからかな…
あらすじや紹介通り、夕陽が名探偵になってからが本番。
それまではキャラや世界観の紹介って側面もあるのだろうけど、退屈な時間が続く。
ちなみに四季シリーズ的なものでは本作が一番敷居が低い印象。
つまり、一番読みやすい。言葉通り、文章・結末と2重の意味で読みやすい。
シリーズを経験している方にとっては、あっと驚くような仕掛けはそこまで期待はできない。
※シリーズをご存知無い方への補足として、このゲームのライターである渡辺僚一さんの作品で、本作が「冬」の作品です。他に同ライターの「春・夏・秋」の作品もあり、これらを含めSF四季シリーズとしています。どの作品もSF絡みの突拍子も無い設定が散見され、通常のエロゲシナリオとは一線を画す内容となっております。文末に他作品のレビューリンクも載せていますので、ご興味あれば是非に。
ちなみに本作の外せない要素として百合、ふたなりというものがある。
これがダメなら読むのもしんどいので、そういう趣向がダメな方は回避推奨。
CGについて
まぁ時代の進化というか、渡辺僚一四季作品として同列に見ちゃうけど、
その時その時で関わる方は違うわけで。
過去一良い感じなんじゃないかな。
BGMについて
一定のクオリティはあるけど、あまり耳に残る感じではない。
システムについて
特に不便に感じることはなかったかな。◎。
Win7切り捨てで困る層はいい加減乗り換えをオススメします。
- 何か謎が隠されてそうなシナリオが好き。
- 舞台設定がきちっとしたSF作品が好き。
- 本作ならではの特徴が気になる方。
以下、ネタバレあり。
ネタバレあり感想
※以下ネタバレは、リアルタイムでプレイ中に思ったことも含まれます。
結論ありきでない部分もあるので、ご了承を。
メモ。
- 冒頭の地熱発電所…怪しいですよね?→別に怪しくなかった。w
- とりねこが月角島に凌辱されたシーンからの次に行くとき、
a few days laterって出たけど、30日経ってたらしい。
a fewとは一体…?それも伏線か?→別に何でもなかった。w
ただ、この世界の人物たちは膨大な時間を過ごしていくことになるので、
そういう点で「a few」の感覚を違ったものにした可能性はあるかも。
さてさて…
名探偵始めてからの推理をしない名探偵、
いちいちぶつかる水名&ユカリのコンビはまぁ面白かったかな。
お決まりのパターンみたいのは適度に大事だよね。
ただ、せっかく名探偵やってたのに、トリックもクソもなく
全てを科学で吹き飛ばしたのはちょっと残念だった。
夕陽の白熱の演技は凄く良かったけどね。
キレ声って言うのかね、名探偵終盤の。
途中まではミステリー方面でも面白かったんだけどねぇ…
月角島の部屋の写真びっしりが最高潮だった気がする。
そんな途中までのシナリオは全てSFに吹っ飛ばされた。
それ自体はライターらしいっちゃらしいんだけど。
何を望んでいるかによるけど、ここまで書いたならせめて納得いく答えを提示して欲しかったかな、個人的には。
デジタルな答えじゃなくて、たまにはアナログがあっても良いじゃない。
本当に殺しちゃっても生き返っても話が繋がらなくなるのは、
そもそも科学で吹っ飛ばすつもりだったんだろうけども。
気付いたら推理云々消えて、ふたなりの孕めオラ物語になってしまったし。
そうじゃなくてもHに尺を使い過ぎた気がする。
後半の輪の会話の「~ん」的な語尾、急にどうした?って思いながら見てたよ。
普通にキツイ。どうやったらそんな進化を遂げるんだよ、と。
ここは作品の個性を魅せるより、意味不明な気持ち悪さが目立ったかなと思う。
お墓代わりに立った数万の棒切れとか、時間の経過を示す世界観は良かったのに。
1周ではちょっと内容入ってこなかったから2周目適当に読んで、
チエミ菊間が最も尊いカップリングだったと思った。素直に可愛い。
あとは改めて冒頭読むと、生えてるのにカド擦り付けオナニーすんの?ってなる。w
細かいところを見ると、
名前の隣のアイコンが特定の人物だけアルパカじゃなく毛玉のようなアイコンだったり、仕掛け自体は色々あって面白かった。
ただ、シナリオがちょっと好みではなかったかな。
雲母なんかはもうちょっとシナリオに絡んで欲しかったし。
まぁ、1本道になった分、世界の構造とかそういうものは見えやすくなって良かったのかも。
総評としては「期待して読むと肩透かしを食らう代表的な作品」に挙げたい気持ち。
もちろんそれは、春夏秋と読んできたプレイヤーに対する表現ではあるけども。
これで本当に完結なのか知らないけど、春夏秋冬揃ったことは素直に嬉しかったかな。
4本それぞれ楽しかった部分はいっぱいあるし、お疲れファッキンさまでした。
ふゆから、くるる。 感想 総評
ファッキンSF四季シリーズの冬版。
今までの作品をやっている方にはもちろん、本作をSF四季シリーズの導入にするのもあり。
ただシナリオが今までよりも多少読みやすい(=一般受け)分、百合ふたなり要素が壁になることも。
こればっかりは個人の趣味になってしまうので、仕方ないかなと。
この要素を排除しちゃうと、そもそも成り立たなくなるし、
排除できたとしても尖った部分の無い平凡な作品になっちゃうからね。
そこをクリア出来て、シリーズに興味がある方には一応オススメはします。
あまり構えずに読む…と、楽しいかも。
萌えものが好きだったり、純愛ものが好きだったり、抜きゲーが好きだったり
個人の趣向は様々だけど、渡辺僚一というライターは常におかしなシナリオを書いているので、
他とはちょっと違った趣向のエロゲをやりたい方には、
本作のみならずこのシリーズは全ておすすめできるとは言えます。
以上、ふゆから、くるる。の感想でした!
挿入画像 FANZA GAMES より引用
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