
――Iは未来を求めない。
ウグイスカグラの「冥契のルペルカリア」の感想、ご紹介です。
- タイトル:冥契のルペルカリア
- ブランド:ウグイスカグラ
- 原画:桐葉
- シナリオ:ルクル
- ジャンル:ADV
- 発売日:2021年2月26日
冥契のルペルカリア 感想
あらすじ
若くしてこの世を去った天才女優。
ある種の伝説的な存在となった彼女は、壮絶なる演劇の果てに一つの真実を得た。月日は経過し、春が訪れる。
主人公・瀬和環は、新入生歓迎会にてとある演目を目にすることになる。「劇団ランビリスへようこそ!」
ゲリラ的に開催された、学生劇団による突発公演。
かつて、天才子役としてデビューしながら、演劇の道を断った主人公は、懐かしい思い出に駆られていた。「ちょっと、見に行こうぜ」
野次馬根性から始まる、不条理の物語。
幕を開けた物語は、終わりを迎えるまで止まることはないのだろう。芝居を愛する天然少女、架橋琥珀。
演劇の申し子、匂宮めぐり。
人気急上昇中のネットアイドル、天使奈々。
役者を諦めた裏方少女、箱鳥理世。「最高の演劇にしよう!」
彼らが掲げるは、北欧神話をモチーフとした舞台"フィリア"公演。
まばゆいスポットライトを浴びながら、物語の上で踊る彼女らは美しい。白髪赤目が導いてくれる。
公式サイトより引用
君にとっての、都合のいい結末を――。
冥契のルペルカリア OP動画「ライムライトの残火」
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
最初に言うと、私は全編において少女愛好家の双葉が一番好きでした。
と、言う事でね…
演劇を題材にした作品であります。
通常、『演劇を題材にした作品』は、演劇要素が重要な要素となってくるが、
もう少ししっかりとしたリサーチとリアルな描写があると良かったと感じた。
「舞台監督」や「演出家」等、分かりやすい言葉の中にも誤解を招くような表現が散見され、
それが残念だった。
実際の印象とかなり違うと言う意味で。
また、題材が題材なだけに声優陣の熱演に期待するかどうかでも評価が変わると思う。
もちろん、ただ声だけでは演劇とはならないので、その点については仕方のない部分もある。
劇団に関しても、現実とかけ離れた描写があり、リアリティを追求すると白ける可能性があるため、
そういった点が気になる方には合わないかも。
キャラ的な部分は誰がメインで誰がサブか…
立ち位置的にちょっと良く分からないなぁって人物も居た印象。
逆に言えば、サブなのに良くも悪くも突出している人物もいるのだけど。
シナリオに目を向けると、謎が解明されるにつれて登場人物の行動や目的が明確になり、
納得できる要素がきちんと出てくる。この点は素晴らしい。
ただ、個人的には「演劇」という要素をもう少し違った形で活かして欲しかった感じはある。
構成上仕方ないとは思うけど、学生演劇の割りに青春要素が薄いんだ。
良い部分も悪い部分も等しく存在する。
そんな印象を受けた。
過去作の要素?やら白髪赤目という言葉には一定の意味があるらしいのだけど、
そういう要素があるからメーカー過去作はやった方が楽しめるのかも?
(私は未プレイ)
その理由として、シナリオ自体は俯瞰すると分かりやすいんだけど、
どういう要素があってそういう事になってるの?って部分がまるで分からなかったので。
CGについて
個性的ではあるけど、可愛くもある。
けど、特に立ち絵はバランスが不安になるような気持ち悪さもある。
柔らかそうだけど。
背景関連は素敵です。
BGMについて
役に徹するBGMと主張するBGMのバランス良好。
急なカットイン等、絵と合わせてSEの使い方は良かったと思う。
システムについて
個人的に特に不便は無し。
バックログからのジャンプはあり。
- ちょっとだけ重いお話が好き。
- ある程度の長尺シナリオで、儚さもある作品が好き。
- 演出が良いゲームを探している。
以下、ネタバレあり。
ネタバレあり感想
以下、章ごとに思ったことをつらつらと。
このメーカーの作品は初めてなので、悪しからず。
白髪赤目とか言われても、なんのこっちゃなので。
ちなみにネタバレ無し項目で演劇について触れてるけど
何故そんな事を書いたかと言うと、私自身がそういう職種だから。
以下、演劇周りのリアルは虚構じゃなく現実の話、
経験則に基づく話ってのをご了承いただけば幸いです。
某サイトの中央値、感想は肯定的な意見が多いけど、
ここでは割りと否定的な感じになります。
あまり否定的な意見を見たくない方は回れリターンでお願いしますね!
第一幕 魔性の真紅
最初の氷狐さ、熱演なんだろうけど、演技がわざとらし過ぎじゃないかな?って思った。
琥珀の再現劇もわざとらしくて聞いてて恥ずかしかった。
作り過ぎなんだよなぁ、多分。
もうちょっとナチュラルな成分があれば良いと思った。
しかもこれのお陰様でテンポが悪くなるのも気になる部分。
加えて、男役だからなのか、みんな同じような声、表現になるんだよね。
逆に声優の個性を殺した演出になってしまった感。
琥珀はどうせ無視するからバミりは要らないって表現に一言。
→いやいや、そんだけプロな空気感出してて役者がバミり無視はあり得ないから!
導入としては良くまとまった流れだったと思う。
でも、やっぱ声優の演技がわざとらし過ぎて、どうにも苦笑してしまう。
第二幕 琥珀の存在証明
何か途中から天使忘却とかよう分からんことになってきた。
誰かが願ったから、天使奈々菜が消えた。
もはやハ〇ヒの喪失状態。
これで超展開が何でもありになった。
つまり、氷狐もまた出てくるでしょ?と思ってたらあっけなく京子として出てきたね。
もう完全にファンタジー…
と言うか、そういう世界観だったのねって。(今さら?)
第三幕 暗紅の憧憬
冒頭の文章。
「何人かの舞台監督が興味を示してくれた」ってあるけど、
舞監に興味持たれても意味無いし、
役者に興味持つ舞監なんてそうそういないもんですよ。
敢えて言えば、演出家に興味を持たれる方が大事。
ここまでで進行上、双葉との絡みが多いからか
双葉がメイン食っちゃってるイメージがある。
実際、奈々菜と夫婦を演じろって課題を出された時とかも最高に可愛かった。
第四幕 天鵞絨の夜具
氷狐の異常性と、京子の明るさの対比が中々ね。
結末を知ってからだと、余計にこの対比が良かった。
琥珀の演技をするために主人公を好きになった~の件は
琥珀の空っぽさを強調するとともに、キャラとしての可愛さも引き出してた。
演技第一な感じでいて、ちょいちょい気持ちを主張するとことかね。
主人公を奪われるのは嫌だって感じとか。
で、ハナの身の上話。
理世に憧れてたって話とか、今は亡き座長との話とか。
ちゃんと語られるのは良いね。
また、双葉→天使→主人公の一方通行尽くめの恋愛感情も良いね。
双葉が闇墜ちしそうで面白い。
と思ったけど、闇墜ちしなかった。ちょっと悲しかった。w
で、理世の過去話もあったけど、
ここで結構ドバーっと各ヒロイン、サブの話が済んだ感じだった。
第五幕 群青の不条理
ビラ配りするのは良いんだけどさ、めぐりさんや…
抱えてる時点でビラ、ぐしゃぐしゃだけど良いの?w
それにしても来々って何者?
そんな凄い人間だって描写は今まで一度も無いのだけど。
ただただ不快感なキャラになってきてないか?
琥珀の覚悟は中々だけど、それすら裏でこいつが手を引いてるってのがね。
と、思ってました。ハイ。
最終的に来々の目的自体は分かって良かったけど、
暴力的な印象が長らく強過ぎてキャラを受け入れるには遅かった。
めぐりとの特訓期間はめぐりの魅力引き立てて良かったね。
その後の衣装作りでの女子の会話も。
で、現状のランビリスはめぐりが願った虚構の存在である、と。
ほほお、もう何でもありですね、虚構虚構って言っちゃえば。
※演出家の役目
これ、人物の力関係(来々>>>>>>>>主人公)で本番前は邪魔扱いされてるけど、
とんでもないです。誤解を招く表現が多い。
せめて「見習い演出家の」と書いて欲しかった。
第陸幕 七色の暖炉
恋に恋する自分が好きなだけって、何か凄いリアルだよね。
奈々菜の個別ってことで、
双葉も良い感じに絡んでくれないかなーと思って読んでた。
と、思ったら…また虚構の世界か。
共通であんだけ演劇に命かけたような空気感出して、
奈々菜をアイドルに復帰させるには今すぐ劇団抜けろという双葉。
いやいやいやいや。w
このルート、必要だったかな?
本当の兄妹じゃないんだから、せめて幸せにしてあげて…。
第六幕 茜色の幻惑
理世ママァ…
座長やそこに親しい人物はフェードアウトしてる。
つまり、どういうことだってばよ?誰がそう願ったかって?
色々あってエゴで今まで理世に演劇をして欲しいと思いつつ、
急に理世は演劇の世界にいて良い人間じゃないって、主人公お前…!w
あまりにもエゴイスト過ぎやしないかい?
めぐりが可哀相だなって思った。それすら幻惑なのかな。
ここでは普通に理世と結ばれるから、この後どうなるの?って思った。
けど、この作品にはいつも虚構世界が付きまとうのよね…
もう何でもありやん。w
第七幕 灰色の客席
夢から醒めた冒頭の理世が辛過ぎる。
その表現って意味あった?
で、ここに来て来々がちょっと良いツンデレに描かれるのは何とも…
ここで「舞台監督B」という人物が「僕に身を任せてくれたら万事うまくいく」と
悠苑に語り掛けるけど、舞台監督はそんな権限持ってないっす。
と言うか、そんなふざけた姿勢で仕事してる舞台監督なんて居ないでしょうに。
とまぁ、そんな話は置いといて…
ここで割りと真相に近い話が語られるね。
まだ個別全然残ってるけど、どうなるんだろって期待があった。
第漆章 赤光の銀河
真実が明かされたにも関わらず、逃げ込んだ世界線かな。
シナリオが進行にするにつき、悲劇染みたルートになっていくのは好き。
ここまで来ると状況的な結末が見えてしまってるから、
何とも言えない気持ちになってしまう。
ここまでズルズルきた分、それは更に悪いことに思えてしまって。
せっかくヒロインが魅力的なのに。(眉毛以外)
このルートでやっと、まぁ今までのことも省みても
来々がただのツンデレと分かって良かったかなとは思う。
最後の一枚絵は素晴らしかったけど、打ち切り感が凄かった。
第八幕 紅蓮の涙痕
虚構の存在の種明かしは既にしてるからって、朧の扱い酷いな…w
ここら辺でちょっとABみたいな感じだなぁと思った。
第捌幕 ロイヤルアンバーの夢幻泡影
ここまで来て妹は生きているなんて選択肢出すのは凄いと思う。w
こちらも途中までは良かったと思うけど、最後がやっぱり打ち切り感が凄かった。
最終章 魔白の彼方
めぐりに対して
「地獄の底まで、追いかけてきたよ」
と言ったシーンが印象的だったかな。
この物語におけるメインヒロインはめぐりだったのかな。
何か気付いたら終わってた。
と思ったら現実世界に琥珀の姿が。
あれ?また虚構世界ですか?
すっきりしない終わり方だったように思う。
始まりから終わりまで、スーッと進行してしまった。
個人的に「演劇の裏側」をリアルで知ってしまっている分、
どうしてもそういう要素の粗が気になって入り込めなかった。
分岐に関してはどうにか巧く1本道に構成して
メインのシナリオに没入させてくれた方が良かったかも。
他のルートに反れると平和そうに見えてもバッドエンドなわけだし。
某サイトでの評価点が中々に高いけど、
私は求めてるものが違ったので合わなかった。
ルクル氏の作品は初めてだったけど、
評判良かったからきちんとリアルにリサーチ入れてると思ってた。
こんな適当だと思わなかった。
まぁ、そういうこともあるさ~。
冥契のルペルカリア 感想 総評
演劇を題材にした不思議な物語。
演劇の裏側については誤解を与えるような表現もあるので
もう少しリサーチしてから書いて欲しいと思う反面、良いシーンがあったのも事実。
何に期待するかで評価は変わるけど、
読ませてくれるシナリオではあるので「読む」のが好きな方にはオススメかな。
以上、冥契のルペルカリアの感想でした!
挿入画像 FANZA GAMES より引用
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