
Loseの「まいてつ Last Run!!」の感想、ご紹介です。
製品概要
- タイトル:まいてつ Last Run!!
- ブランド:Lose
- 原画:cura
- サブ原画:Tam-U / Re:N根 / 麻の葉 / すーぱーなごやか
- シナリオ:進行豹
- ジャンル:e-motionノベル
- 発売日:2020年10月30日
まいてつ Last Run!! 感想
あらすじ
蒸気機関車8620を制御する専用レイルロオドであるハチロクは、大廃線に伴って長い眠りについていた。
ほんの偶然から彼女を目覚めさせた、鉄道事故被害者である青年・右田双鉄は、ハチロク、義妹で絵描きの日々姫、市長で社長のポーレットらと、 それぞれの目的のため、行方不明になっている8620の捜索を開始する。公式サイトより引用
【OPムービー】ロオド・ラスト【中恵 光城】
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
相変わらずと言うかなんというか。
E-moteが素晴らしい作品。
本当に素晴らしいのです。
Last Run!!の前にSTEAMで全年齢版買ってあって、
でも積みゲーになってしまってて、
今回改めて触れた作品なんだけども。
主人公ボイスはあって、
オンオフはもちろん可能なのだけど、
オンで問題無いと思う。
題材的に色々と専門的と言うか
分からない言葉は多いけど、
所謂TIPS的な機能はあるので安心。
設定的に九州の方のお話。
方言交じりの会話が何となく心地いい。
私は根っからの関東民だから
そう感じるだけかもしれないけども。
これからプレイ予定って方には
キャラクター達の魅力を感じて欲しいな、と。
地域柄の特色や観光関係の話も魅力的。
もちろん、メインだけではなく
サブキャラ達も魅力的だし、
それぞれのバックボーンをしっかり持っている。
メインは鉄道に纏わる話になるけど、
色々な感情がパッケージされて
総合的にとても温かい話に昇華されている、
そんな印象のシナリオは読み応え抜群。
ただ、その分、尺もかなり長いことになるので、
それ故、あまり手放しでオススメできないのは残念。
贅沢な悩み。
2020年12月現在、2.2の最新パッチを当てて尚、
プレイ中に何度かエラー落ちしたのも気になった。
作品自体はとても丁寧に作られた印象。
未読の方は、是非。
ちなみにこの作品におけるレイルロオドという概念は
分かりやすく言えばアンドロイド的な存在。
故に、リアル寄りながらSF要素も内包する作品かなぁと思う。
CGについて
E-moteはもちろん素晴らしいのだけど、
素晴らしすぎてそれが
一枚絵の良さをも殺しかねない雰囲気はある。
贅沢な悩みなんだけどね。
キャラデザは凄く良いし
服装がころころ変わるのも良いね。
背景も素晴らしい。
BGMについて
落ち着いてる曲が多い印象。
音は綺麗で良いクオリティ。
思いがけず盛り上がるBGMもあって、耳が幸せになる。
逆に、盛り上がってしまうので、ボイスが聞き取りづらくなる難点も。
主題歌やOP・ED曲は質・数共に高いクオリティ。
システムについて
必要十分な機能はあるので安心。
ただ、少々システム自体不安定なのが気になった。
こんな方におすすめ
- コンセプチュアルなゲームを楽しみたい!
- 舞台設定がきちっとしたリアル寄りのSF作品が好き。
- 演出が良いゲームを探している。
以下、ネタバレあり。
ネタバレあり感想
事故ったのが8620ってのはすぐ分かるよね。
その因果関係がどうなるのか、
そこら辺が興味深い作品だなぁと。
8620の復活に向けて
作中の人物が手を取り合いながら、
時に悩みながらも前に進む姿は
見ていて実に気持ちの良いものだし、
ひとつの目的に向かって進む物語だから
とても引き込まれるものはある。
オープニングまでのプロローグを経て
8620の走行試験の場面は謎の感動があった。
以下、攻略順。
雛衣 ポーレット(CV:あじ秋刀魚)
このルートに関しては、
過去がひとつの楽しみになるかなぁと思って読み進めた。
双鉄とポーレットはあからさまに
過去に何らかの関係があるからね。
廃鉱山の再生を目指すにあたって、
双鉄が色々なことを学ぶと言うか、
思い出すと言うか、
そういう描写があるのが良かった。
「楽しさ」を理解する描写に
ライターの優しさが満ちてた気がした。
その他、ポーレットの過去に関することや
れいなに関する問題も語られて、
廃炭鉱の再生問題と絡めて
しっかりと色々と掘り下げられてて良かった。
れいなの問題に付随するような形で
ニイロクが突然出てくるけど、
心にくるものはあった。
日々姫の
「いってらっしゃい!
――バイバイ、にぃに」
は切なかったね。
8620に固執していたように思うハチロクの態度が、
双鉄の家族を末永く守ろう
と言う気持ちに変化していったのは
とても尊い部分だった。
ハチロクが最後、
「古ぼけたレイルロオドから大好きなマスターへの」
と語ったのが心に残ったなぁ。
このルートはもちろん
ポーレットと恋をし家族になることも
主眼に置かれてるけども、
最後にハチロクも立ててくれて良かった。
完全ハッピーエンドっすね。
鉄道旅行行きたくなっちゃった。
寝台特急って良いよね。
右田 日々姫(CV:ヒマリ)
義妹ロリってことでね。
方言交じりで可愛いし、
かなり琴線触れるプレイヤーも
多かったんじゃなかろうか。
個人的には一番可愛かったというか、
魅力を感じたかな。
単純にビジュアルや方言の喋りと、
つたない標準語が可愛かった。
日々姫と蔵の関係性、
稀咲との関係性、
それ故のエアクラ工場誘致派。
構図が分かりやすかった。
日々姫は稀咲に純粋に憧れてるんだなって
描写もあって尚の事分かりやすかった。
途中、客車探しをしていたところで
レイルロオドの寿命とかいう
とんでもなく気になる言葉を挟んでて不穏だったな。
その後の客車のトラブル。
BGMも相まってスリリングで良かった。
でも、ポーレットが市長辞任の流れになって、
日々姫が市長立候補ってマジですか?ってなった。
いくら作中設定でOKでも、
それはちょっとどうなのって。
話自体は良い流れなんだけどね、
ちょっと現実味というものが
無くなってしまった気がした。
せっかくリアルな世界観なのに。
稀咲と日々姫の市長選挙。
その途中でのレールショップのジオラマ作り。
あれすげえなぁって思った。
CGも綺麗で、わくわくした。
討論会では日々姫が
「わたしが、兄さんの、いもうとだからですか?」
って言った時、列車の音がフラッシュバックする演出とても印象的で。
からの、告白・トラウマ乗り越え。
シナリオの流れがとても良かった。
路子との、最後のお別れは切ないね。
でも、そういう描写は必要だったし、
色々と片が付いたタイミングに挿入されたのは◎。
スケッチブック、絵。
この要素を日々姫の大切な要素にして、
シナリオにきちんと絡めたのは評価できる点。
アフターでのみくろ登場は
印象的な登場だったなぁと。
みくろ可愛い。
ただ、自らの部品の多くを
とあるレイルロオドの復元のために提供したと
書かれていることから、
オッドアイは可愛いけど
素直に可愛いと思えない切なさもあったね。
オッドアイになったのも、
その影響かなとか考えちゃってね。
ハチロクが灼眼だからね。
みくろの眼は片方モノクロだし…。
ハチロクの未練語りも
良い具合の場面で挿入されたねぇ。
みくろと日々姫の気持ち的な部分や
境遇(姉妹)的な部分が重なるのは良い演出だった。
日々姫は真闇、みくろはハチロクって具合に。
一番最後、
みくろとハチロクが並び立ったのは泣いた。
やっと会えたねって素直に思えて。
物語の積み重ねって大事だよねって思った。
全体的に、双鉄・日々姫・真暗・稀咲を軸に
それぞれの関係性・変化を描いた良いルートだったと思う。
言ってしまえば「普通のこと」で泣かされる、
構成・演出がとても素敵な話だった。
宝生 稀咲(CV:上田朱音)
ボクっ娘にしたのは、
明確なキャラ付けの為だったのかな。
容姿的に、私でも良かったような気はする。
しっかし、この子…
日々姫の1個上とはとても思えない。
いや、日々姫が1個下とは思えないのか…?w
「食事の時間を削れば、その分他で自由になる時間が増える」
というこの子の考え、リアルに考えると割りと危険だよね。
私自身、そういうスタンスで仕事してたけど。
食事はきちんと摂るようになりました、ハイ。
閑話。
このルートで、汽車のアレコレに触れて、
稀咲は今まで見せてない一面が出ていた。
焦ったり、びっくりしたりする稀咲はレア。
純粋に他ルートより可愛いんだ。
それと同時に、
味方に付くと心強いなって。
日々姫が相変わらず切ない。
恋を知らないなんて嘘をついて…
そのシーンでは最後まで双鉄を「兄さん」と呼んで…
切ないね。
雰囲気はとても良いシナリオなんだけど、
やっぱり短すぎたかな。
サブだけど、それが残念だった。
れいな(CV:杏子御津)
れいなの初恋を優しく受け止める
ポーレットとれいなの関係はやっぱ尊いね。
3人一緒に幸せに…というのは、
ポーレットアフターを思い出させる。
が、いきなり結婚は躍進し過ぎでしょ。w
でもその際のポーレットの怪しげな反応は面白かった。
戸籍上、双鉄の義母になるってくだりね。
ED終わってタイトル戻った時のBGMに吹いた。
確信犯でしょ、あれ…w
キャラ的にはほわわんとしてて、
声もあってかなり主張強めだったと思う。
もちろん、いい意味でね。
ニイロク(CV:赤月ゆむ)
赤井宮司のお話。
ここまでミイラ状態のニイロクの印象が強かったから、
開幕からめちゃくちゃ可愛いじゃないか、と。
赤井運転士への好意MAXでとても可愛い。
ぽんこつだからなおさら可愛い。
シロの気持ち、泣けてきちゃうね。
ニイロクの為に犠牲になると。
その中、揺れ動く赤井さんも切ないね。
そうしてニイロクは壊れて、
あのシーンに繋がっていくのね。
とても大事なシナリオだったように思う。
短いながら、温かさと切なさが同居した
良いサブストーリーだった。
タイトル戻ると緊急停止押す時の首絞め。
それは若干きつかったかな。
ハチロク(CV:桐谷華)
ハチロク読まずとも
開放されるルートは全部読んでからの順番で。
なんとなくね。
OPで既に何かちょっと泣けてくる。
色々と読んできたからね。
順番によって感じ方は変わるだろうけども。
電車姫とはこのルートで初めてのご対面。
これまではその名前と姿だけだったからね。
しかし、幼少の見た目が病と言うのが気になった。
ついには深く言及はされなかったのだけど。
ここまでの話を読んでいるからか、
バーベキュートレインっていう意外性が面白かったな、と。
双鉄がハチロクに対して
「鉄道事故が怖いのだ」と言い切ったのは印象的だった。
その後のちょっとしたすれ違いと、ハチロクと日々姫の会話と。
すっごく流れが素敵。
と言うか、あの事故の死者はわずか3名って…
双鉄の両親と妹だけやん…不幸すぎる。
この事故を起こした列車のレイルロオドがハチロクで、
その被害者となったのが双鉄の家族と言うのは
設定上は良い因縁だったと思う。
名前しか出てこない58623のレイルロオドこはるについて。
シナリオの流れが凄く良いので、
それだけのことなのに感動しちゃう。
そこからの流れで
8620の台枠にあった事故の痕跡。
髪の毛の焼ける臭い。
倒れる双鉄。
既に機能を停止したこはるの存在。
これらが巧く絡み合って、
双鉄とハチロクの気持ちが
再確認される流れがとても綺麗だった。
台風騒動での
「橋」を越えたお話、
双鉄とハチロクと二人で越えたのが良かったね。
起承転結のある素晴らしいシナリオだった。
アフターでは冒頭で
子を生せない二人(双鉄・ハチロク)だけど、
浦上さんの赤ちゃんでその描写を描いてくれた。
で、色々と話は進んで。
安易にオリヴィが助かる物語でなくて良かった。
不器用な宗方とオリヴィの絆を少しずつ、
でも完璧に描き切った末の、さよなら列車。
オリヴィの最期としては
相応しい舞台だったなぁと。
ただ、もはや誰が主役なのか
分からない状態ではあったと思う。
少しだけど、それが気になった点。
後半はボーカル曲使いまくりで凄かった反面、
演出的にちょっと弱くなってしまった印象もあった。
右田 真闇(CV:かわしまりの)
キャラ付けを活かして、
ここまでとは趣の違うお話に。
良い感じに列車の話と
お酒の、右田一酒造元の話が絡まってたと思う。
日々姫の失恋のシーンにもきちんと意味があって。
双鉄と真闇を思いやるが故のね。
あんな健気な子はそうはおらんよなぁ…。
エアクラ工場誘致の件も、
ひとしずくが世界的知名度を得る
→お水は大事!な感じで
決着ついてるのが分かりやすい。
これも短かったけど、
よくまとまったお話だった。
蓑笠 凪(CV:早瀬ゃょぃ)&早瀬 ふかみ(CV:佐倉江美)
なんだこの楽園は…!!
まぁ、ロリ特化ルートだよね。
成長前でもなんのその。w
レイルロオドも大概だけど…。w
川下りの件はここだけのお楽しみで良かった。
その恐ろしさの描写ももちろん。
みかん鉄道時代のオリヴィが見られたのは良かった。
ハチロクアフター後だから余計に。
凪とふかみのそれぞれの成長物語は
シンプルで分かりやすい構成。
故に、どちらを選ぶか、二兎を追うか。
その最後の選択はゲーム性に合ってなくて
逆に新鮮だった。
凪を選んだ際、宗方さんが登場するのは良かった。
オリヴィが登場してたからね。
ただ、この時点で既に機能停止している
描写があったのは悲しかったね。
逆にふかみを選んだ場合。
凪が凄い健気だった。
最後までふかみの背中を押す姿勢がね。
二人を選んだ際のあの展開。
すっごい良い風の話に見せかけてるけど、
実は割りとドロッドロなのでは…?
レイルロオドという概念を
うまく使ったとは思うけど。
タイトル戻った際の
凪とふかみの自信に溢れた表情は良かった。
グランド
ここでは8620の事を
「路子の未来を、僕らの未来を繋げる列車」
と言っているのが印象深い。
初めて双鉄の本来の家族、
十川家のお墓に来るけど、
どのシナリオにも出さずに
ここまで引っ張る必要性があったかは分からない。
れいなエピの中で
赤井宮司との話で後東の話が挙がったのは印象的。
そこでれいながニイロクに話しかけていたというのも
心がほっこりする。
稀咲エピでは引き続き、後東が登場し。
赤井運転士とニイロクの未来が
約束されたのがとても印象的だった。
真闇エピでは、
ついにナインスターズの名が。
そういうことだったのね、うまいと思った。
曲名だけ見てて、何のことだろって思ってたので。
凪エピにて。
みくろがごく自然に仲間に混ざってるの嬉しかった。
凪のライバルだった剣道少女の中村さんも何気にね。
で、大分昔の樹を線路上に倒した件をここで出してきて。
しっかり最後までシナリオに絡ませてたのは好印象。
ナインスターズエピにて。
さりげなく九つ星なんて新酒作って最優秀になってるの笑った。
コン駅長も長生きやな!w
まぁそれは置いといて、路子に対して
「いってらっしゃい、良い旅を」と言えて、良かったね。
大団円で綺麗に終わった。
読了感はとても良かった。
仲国
ナインスターズが成功して、
それを仲国でもやろうって話なのかな。
グランドからの自然な流れで
「右田ハチロク」になってたのが温かいね。
で、そのグランドを経て、
ある意味双鉄側の恋愛事情は
双鉄が誰にもアプローチしない形で完結してるから
西瓜と志寰の登場・恋愛事情があって良かった。
途中、寝台列車からの星空の描写とか、
双鉄と日々姫のやり取りとか、
そんな中でのハチロクと西瓜の共感、やり取りとか。
とにかくすごく綺麗だった。
パンダ連呼するハチロクが可愛すぎた…w
西瓜が日ノ本に来ていた時、
川下りでの凪やふかみ、橋の上の8620の汽笛、
今までの物語と馴染みの深い場所・人物と
邂逅していたのは良い設定だった。
ただ、敢えて仲国編とせずに、
グランドのちょっと長いエピローグとしても良かったかも。
まいてつ Last Run!! 感想 総評
プレイ時間:約50時間+ | オススメ度:★★★★☆ |
サブも含めるとルートも多く、
登場キャラ達もみんな魅力的。
シナリオも心打つものが多く…と、
ここまで書くと超オススメっぽいけど。
反面、最後までプレイすると約50時間以上という長尺。
鉄道と言うテーマが一貫しているので、
いくら良い話でも飽きる層は一定数居ると思う。
もちろん、付随する他の大切なテーマもあるのだけど、
尺的に初心者向けでないことは確かかと。
長尺でもいいぜ!って初心者さん、
エロゲーマーなら間違いなくオススメできるけども。
その上で、★4以上はあげれる出来だと思う。
★5は色々考慮して無理だけど、★4.5くらいの感覚で。
個人的には★5なんだけどね。
という事で、良いシナリオをお求めで
ひとつのテーマを掘り下げる構成がお好きならオススメ!
以上、まいてつ Last Run!!の感想でした!
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挿入画像 DLsite より引用