時は、動乱の幕末。
インレの「幕末尽忠報国烈士伝 -MIBURO-」の感想、ご紹介です。
- タイトル:幕末尽忠報国烈士伝 -MIBURO-
- ブランド:インレ
- 原画:ぬい / ひっさつくん
- シナリオ:葉山こよーて
- ジャンル:幕末血煙活劇
- 発売日:2017年12月22日
幕末尽忠報国烈士伝 -MIBURO- 感想
あらすじ
古より伝わる不思議な力……。
その不思議な力は国が安危とき、何者かに宿るという。
その力を持つ者は相手の弱点を読み取ることが出来、一陣の風のもとに相手を亡き者にできる。
言い伝えでは敵の弱点を読み取る際、小さな光……ときには紅蓮の炎が浮かび上がるという。
総じて、その光を『玉』と呼んだ……。黒船襲来から十年、日本は未曾有の危機に瀕していた。
公式サイトより引用
政治の中心は江戸から京都に移りつつあり、その京都は天誅の名の下、無法地帯と化していた。
その無法地帯を取り締まるのが近藤勇率いる壬生の狼と呼ばれた「壬生浪士組」(後の新撰組)。
そんな勇たちに助けられた主人公、見田健。
倒幕へと傾く時代の中、個性あふれる新撰組の面々とともに京の町を守るが……。
幕末尽忠報国烈士伝 -MIBURO- OP曲 艶麗ブラックアウト
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
歴史のお勉強シリーズ。
歴史上の偉人や周囲の関係者をエロゲらしく女体化しつつ、シナリオは史実に忠実な部分と、ifの空想的なもので構成されている。
今回から、歴史上の豆知識のTIPSなんかもあって、割りと真面目に知識にもなるのが笑えない。
ゲーム内の機能としてのMAPも地理の位置関係が分かるので、地味に助かる機能。
本作をやってまず思ったのは、またA samurai's beat(前作ChuSinguraのFD)やりたくなったって事。
当時は赤穂浪士 VS 新撰組という構図しか見えなかったけど、
壬生浪士、新撰組のことを描いた本作を経てA samurai's beatをプレイしたら、
また違った感覚になるだろうなぁって思って。
(関連作品の感想については、本記事の最下部にリンク置いてます)
ChuSinguraとそのFDやった後だと、壬生浪士組が出てきただけでちょっと泣けるね。
作中の時空だとこの一連の出来事のあと、赤穂浪士とああいう事になったのかなぁって。
今作の主人公はその時代に生きた人間ということで、
ChuSinguraのようにタイムスリップではないのが良いかな。
ただ、内蔵助をはじめ、赤穂浪士の面々がいないのはちょっと寂しさも感じる。
それだけあの作品が良くて、クロスオーバーした本作の時代に名残を残したってことなのかな。
大石内蔵助はもう居ないんだという、ちょっとした虚無感と言うか。
ゲームの話だし、まぁ感じるとしてもChuSinguraプレイ済みの人だけなんだけどね。
ということで、作品的には前作、前作FDやってる方が楽しめる作りになってます。
やってなくても問題は無いんだけど、やってると上記のような様々な気付きがあるって感じで。
シナリオ的には基本的には史実を辿るから結末が予想出来たりもするんだけど、
演出的にBGMの使い方だったり人物の描き方だったりが巧みで、割りとドラマティックな感じを受けた。
どうしても前作と比べる風潮はあるんだけど、本作単体で見るとシナリオの魅せ方も素敵だよ。
前作ChuSinguraが好きだった方には十分にオススメ出来る内容かな、と。
逆にChuSingura、MIBURO共に未プレイの方はせっかくやるならChuSinguraから入った方が良いゲーム体験ができる。
以下はA samurai's beatの話も混ざるので、とりあえずネタバレありってことで。
CGについて
シリーズおなじみ?の立ち絵の眉ピクなんかもあって良い感じ。
立ち絵の演出も、構図の魅せ方も進化した。
尚、ChuSingura46+1からの背景の使い回し、普通にあります。
特に気にならないけどね。後、一枚絵は印象的なものが多くて良かった。
BGMについて
作風柄、主張し過ぎない感じの和もありって感じで。
他、重い感じのBGM、切ない感じのBGM等、良かったと思う。
「一陣の風」が好き。
システムについて
2017年という、比較的最近の作品だけどバックログジャンプが無い。
右クリックの挙動の指定ができない。
それと、フルスクリーンがメインディスプレイに引っ張られるのは地味に嫌。
それ以外は特に不便は無かった。
- 長尺シナリオで、儚さもある作品が好き。
- それぞれの正義のもと、明確な悪役はいない作品が好き。
- 史実に架空を入れた空想ものが好き。
以下、ネタバレあり。
ネタバレあり感想
誠の道
始まった瞬間ロリっぱいとはねぇ…
そうだ、この系列の作品はいついきなりR18なCGが飛び出すか予測不能だった。w
で、最初に襲われた時に既に主人公に不思議な力があることが分かるね。
まぁ、それが物語の発端なのだろうけど、早すぎたんじゃないかなとも思う。
それはさておき、主人公が健(剣)、妹が鞘とは中々ね。
刀じゃなくて、剣なのが何か良いね。
何かのフラグになってるのかな?と思ってた。
土方さんが「オレのことは、ひじりんでいい」って言うのはすっごい違和感。
いや、面白いって方面での違和感なんだけどね。w
主人公が壬生浪士入りしてから色々なヒロイン、サブとも関わるけど、
今作も登場人物多いのに、よくもまぁこれだけ各キャラに個性持たせたよねって感心した。
イサリンとひじりんの尊さは序盤からでも十分に伝わるね。
A samurai's beat思い出すと…うっ…(◞‸◟)
浪士組が壬生浪士組になるまでのエピソードは
そこに居る人々のエピソードがまとめて垣間見れて良いプロローグだったと思う。
それ以前からの壬生浪士の面々がどんな感じで集まった人たちなのかっていう、根幹の部分は重要だから。
話の流れ的には、健に感情移入して読むと面白いかも。
健がヒロインズ、サブに質問することで世界の状態が把握できていく流れなので。
道中、龍馬に脱藩を勧めた人物…二刀流のおなご…やたら強い…あれ…?
前作やってる人なら気付く部分だよね、これ。
直刃も名前だけは出てくるし、巻き上げって技名も出てくるし。
今までのというか、ChuSinguraの主人公と違って
芹沢を殺めてからはどんどん勝手に修羅になってる主人公の描き方が割りと闇があって好きかなって思った。
命を賭けて脱走した山南さんのエピソードは中々泣けた。
切腹直前に隊員たちに最後の声をかける感じとかね…
特に、切腹後のひじりんの静かなる慟哭とかね…
ゲームとして、良いシナリオにおろしたと思う。
山南さんのこれまでに描かれた人柄、隊員たちの泣き声や、BGMにやられた。
河合切腹の流れは、過去回想が平和そのものだったのも印象的だった。
プレイヤーに、今更ながら主要キャラの解説をしてるような過去回想。
シナリオが複雑だから、割りとこういうの助かる。
この子自身はシナリオ上はサブキャラだけど、大事にしてるなって印象で。
ひじりんが玉の力を信じるようになったのも、
赤穂浪士と戦ったから…その辺を結び付けるのは巧いなぁと思った反面、
A samurai's beatやってないと心から楽しめないのが残念。
以下、各ルート、攻略順で。
総司
まぁ、史実から病が元で亡くなることが確定してるから悲しいよね。
でも、悲しいながら最後までかっこよく描かれたと思う。
もちろんキャラ的に可愛くも描かれており、こっちとしても死なすのは惜しいくらいだった。
主人公が最後に使った主刀が「菊一文字」であったこと、
また、サブの刀を仕込み刀に改造したのが総司だったというのは良い流れだった。
で、故郷で待ってる大切な人って誰なのかな。
妹は死んだし、主人公に身内はもう居ないのでは…?
と、ここでは思うよね。
子猫三匹も具体的には誰に似てたと言ってたのだろう。
イサリン、ひじりん、山南さんなのかな。
史実は知らんけど、島田さんが後にレモネード屋さん(?)営んでて、
そこで主人公がお世話になるという流れは好きだった。
島田さんが刀を振るえなくなって、そういう暮らしをしてたと分かったのも良かった。
ただ、妹の話や玉の話も有耶無耶で終わってしまったのは気になったところ。
まぁ主人公が私闘に身を投じたのだから仕方ないっちゃ仕方ないけど。
それ以外にも色々と置き去りになってしまった部分はあるけど、他ルートで補完されるだろうと期待。
総司との別れと、主人公の一途な復讐劇に特化した良いシナリオであった。
布団にくるまった総司可愛すぎか?
ひじりん
デレた後のひじりんは何とも言えない可愛さがあって良いね。
イサリンの投降はここまでのシナリオを読んでると泣ける出来事だった。
その描き方も中々秀逸でね。
蝦夷に渡る話をしている時の大鳥圭介と榎本武揚の雰囲気が凄く好きだった。
腐れ縁、軽口の叩き合い、サブにも魅力をきちんと持たせている。
且つ、そんな騒々しさは新撰組を思い出すと言う気持ちにも向かわせてるから良いよね。
終盤、主人公を多摩に向かわせてからのイサリンかっこよすぎか!
服装も京の時代のだんだら模様に戻ってさ。
全体的に、イサリンの後をしっかりと追うひじりんの成長が尊かった。
それに、こういう感じの離別END好物です。
と言うか、鞘生きとったんかわれーーーー!って感じだった。
総司ルートではぼかして終わったけど、ここで故郷で待ってる大切な人が分かって良かった。
でも、どうして生きてたか。どのようにして救われたか。その辺は気になる。
あとは会津藩、斎藤がどのような運命を辿ったか。
歴史が証明してるんだろうけど、描いて欲しかった。
まぁ斎藤ルートで描かれるのだろうけど。
と、この時点では思ってました。
イサリン
酒井さん再登場にムネアツ。
ただ、流山でひじりんと別れてから闇墜ちしてるイサリンはちょっと…
イメージからかけ離れちゃう。
で、江戸に尾形さんが訪ねてくるけど、この子のキャラデザ本当好き。
目のまつ毛の感じとか、ロリ貧乳(大事)な感じとか。刺さる。
新八がシナリオに出てくるの良いね。
サブの中では頭抜けて主人公に好意振り撒いてたからね。w
結末自体は離別でもなく、そこまで感動するような内容でもなく。
総司、ひじりんと比べると平凡なシナリオだったかなといった印象。
まぁメンヘラ枠なんだろうけど、メンヘラ度が足りなかった印象。
歴史を脚色するなら、思い切った脚色でも良かったんじゃないかなといった印象。
ヒロインの中で一番のシナリオを期待してしまったが故の評価になるけども。
それはプレイした大多数の方も同じ気持ちなんじゃないかなと思う。
…多分。w
斎藤
西郷家の自害の現場での目が赤くなった斎藤は印象的だった。
死してもなお、帯飾りを通じて斎藤を助けた沖田に涙しちゃうね。
如来堂で語られたこの二人の出会いのエピソードも良かった。
許嫁って言葉で落ちる一ちゃんがチョロ可愛い。
事あるごとに許嫁強調するもんだから、こんなキャラだったっけ?って。w
で、以蔵ね…盛大なブーメラン食らっててちょっと可哀相になってしまった。
再登場しただけ良いと思うけど。
大久保に引導を渡したのは良かったね。(歴史上の話かどうかは知りませんw)
構成的に、斎藤が亡くなったと記述した後に
斎藤との結婚式のことを回想する構成は切なさ倍増で好きだった。
ギャラリーでも誠の道では最後になってる辺り、斎藤が正ヒロインの位置づけだったのかな。
誰が「正」とかは無いとは思うんだけど、どうしても自分の中で格付けをしたくてって事で。
と言うか、単に歴史の流れでこの人が最後まで生きたって事なのかね。
お勉強シリーズやりつつ、日本史全く知らん私です。
最後に、誠の道自体、割りと長くてシナリオ的にも好きな感じだったけど
主人公周りのことや赤穂浪士、一魅周りがおざなりになってしまったのがマイナスポイント。
赤穂浪士、一魅に関して言えば、言ってしまえば別作品の登場人物だからアレなんだけどね。
今作でもクロスオーバーの事実を残したのであれば、もうちょいメインシナリオでの言及が必要だったかなと思った。
友の道
順番にプレイ。山南さんアナザー。
本編で山南さんが最期を迎えた時、割りとマジで泣いたから助かる。
斎藤ルートで盛大なブーメラン食らった以蔵がお助け役として登場してちょっと救われた気分。
史実にはない(んだよね?)山南さんとひじりんのその後の交流なんかも描いていて良かった。
やっぱね、山南さんは本編ではかなりクローズアップされる存在でありながら史実通り逝ってしまったから、
こういうifの展開は泣けるよね。
割りと平和なシナリオだったんじゃないかなと思う。
この人は本編が苛烈だったからね。
義の道
平助アナザー。
本編では良い感じにツンデレだったのに、途中で袂を分かつ展開だったから助かる。
平助を助けたあとの中庭のシーン。
鍬次郎が良い感じにサイコパスになってて良かった。
特徴あるキャラだったのに特に何もなく終わってたから、こういう場で目立つのは良い事。
イサリンやひじりん、平助とも「好きだから会いたい」ってストレートに言う主人公はとても好感が持てるね。
本編でもここまでストレートには言ってなかったんじゃなかろうか。
最後に主人公と平助を迎えるのが河合さんなのも良いね。
謹慎中にひじりんもイサリンも死亡した流れなので、
そこまでのシリアスも無く良いアナザーだった。
ただ、さのじルートも欲しかったなぁ…なんて。
唯一の槍使いだったし、キャラクター的にも豪快で好きだったから。
縁の道
やっと新八来たか―!って感じ。
開幕から可愛い。
後はさのじね、ここで良い感じに描かれてたら嬉しいと思いつつ読み進めた。
で、さのじと新八はやっぱり良いコンビだなぁと。
靖兵隊のエピソードも描いてくれて助かる。
新之助は見るからにさのじの忘れ形見なんだよなぁ…
母親は別に居たのだけど、キャラデザがさのじそっくりでね…
その子とも結局離別する流れは悲しかった。
最後、まぁ明確には描写されなかったけど、
さのじが生きてると示唆する描写があって良かった。
光の道
ここまで来て、いきなりひじりんと敵対してて「!?」ってなる。
と言うか、まぁ歴史の流れなんだろうけど、主役はイサリンではなく、ひじりんだったのね。と。
と言うか、ここまで見田健なる架空の人物の魅力というか、主人公としての存在感というか…
そういうものが希薄だったように思うんだよね。
それが、ここに来て、記憶を取り戻して一気に目立ち始めた感じ。
ただ少し時遅しな感じは否めない。
ようやく、鞘のその後が語られてすっきり。
多摩に大事な人が居ると残した各ヒロインにも納得。
で、まさかのボーカル曲inの最終決戦がVSひじりんとはね…
しかも主人公の刀はイサリンの虎徹。その設定が良すぎた。
ここまで、銃や大砲といった武器に刀が潰される流れで来たけど、
最終的には刀の一騎打ちになって良かった。
最後には新八も斎藤も元の隊服に戻ってて良かった。
この辺りは既に創作だよね。
ただ、既に総司は息絶えた後で、創作と言えどもそこには加われない訳で。
その辺が直感的に切ないなぁって思えるのがゲームの良さだと思う。
ひじりんの骸が史実でも見つかってないのをうまく利用したシナリオだったかな、と。
んで、イサリンの遺言。
健とひじりんには必ず生きろと言う約束が守られるのもこのルートのみ。
史実の妙を突いてて良かった。
最終的に健は一魅に「児玉源太郎」と改名せよと言われる辺り、
架空と史実の折り合いをきっちり付けてきたなと思った。
史実でも源太郎の名は元々「健」でもあったってんだから、すげぇなと。
まぁこれは前作、前作FDからの話になってしまうけど、
一魅って何なんだよという部分が結局はブラックボックスになっちゃってるのは残念だった。
幕末尽忠報国烈士伝 -MIBURO- 感想 総評
新撰組が暗躍した激動の時代をドラマティックに描いた本作。
史実の男性の女体化には抵抗がある方もいるかもしれないし、
歴史を描いた作品ということで敷居は普通のエロゲより高いかもしれない。
けど、本作も前作のように高いクオリティの演出、シナリオの妙で高水準の作品に仕上がってる。
できれば前作 ChuSingura46+1、FDであるChuSingura46+1武士の鼓動から入って欲しい作品だけど、本作単体として見てもクオリティはかなり高いので、シナリオと演出に力が入ってる作品をお探しの方にオススメです!
ただ、プレイ時間はかなり長めになるので、その点だけご留意を。
以上、幕末尽忠報国烈士伝 -MIBURO-の感想でした!
挿入画像 FANZA GAMES より引用
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