唇はね、心のドアなの(名言)
Fluoriteの「Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~」の感想、ご紹介です。
- タイトル:Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~
- ブランド:Fluorite
- 原画:洋乃ヒロキ / スカイ / K子
- シナリオ:雪丸仟
- ジャンル:未来へと口づけるSFADV
- 発売日:2019年4月26日
オートマタものって割りと好きなんですけど、
さてどうでしょうか。
Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~ 感想
あらすじ
統一世界を目指した国々は、歩み寄ることを知らず散り散りになった。
もはや国軍を有することもままならぬほどに。遺伝子操作により人類の上位種として生まれたはずの子どもたち"エディテッド"は、
呪われた子と呼ばれ優れた才と小さい命を儚く散らした。よりよい未来を創りだすはずだった量子コンピュータは自ら思考することを奪われ、
あらゆる既知のみを収蔵する"大偽典図書館"となった。そして珠木正伍の最愛の姉(ひと)を奪ったのは、
平和を守る抑止力となるはずの軍事衛星だった。物語の先にはいつでも、幸福で平穏なエピローグが待っているとは限らない。
誰しもが胸に痛みを抱え、癒やされることを欲するこの世界で
もしも永遠に変わらない、全きものがあるのだとすれば。「あなたを愛します。無条件に、そして無制限に」
正伍の前に現れた、自意識を持つ女性型ロボット"第三世代オートマタ"姫風露。
芸術品と見紛う美しさと無辺の優しさを持つ彼女との口づけによって、
止まっていた正伍の時計は再び動き出す。"架橋(クロスリンク)"――
それは人とオートマタが唇を重ね、心を分かち合い繋がる技術。正伍の全てを肯定し、電子の海を羽ばたく翼を与えた姫風露。
彼女が注ぐ愛と献身が、孤独と心の傷を癒やしてゆく。
求めていた幸福で平穏な日常がそこにはあった。永遠に続くかのように思われた甘やかな日々はしかし、突如にしてかき乱される。
姉と瓜二つの容姿を持った少女、水城遊離の奪い貪るようなキスによって――「唇はね、心のドアなの」
キスが世界を加速させる。
公式サイトより引用
失われた幸福なエピローグを目指して。
これは愛をなくした少年が、もう一度誰かを愛せるようになるまでの物語。
Missing-X-Link~天のゆりかご、伽の花~オープニングムービー
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
愛をなくした少年が、もう一度誰かを愛せるようになるまでの物語。
オートマタ(アンドロイド)SFもの。
分かりやすくロボット三原則から広げていく作風ではなく、
より先を行く倫理原則がある設定の近未来の世界観。
主人公の趣味がチェスなので、シナリオに結構チェス要素が入ってる。
それ絡みの演出もクオリティが高い。
チェスに詳しい方は違った楽しみ方ができるかも。
私はそうではないけど、それでも楽しかったので。
雨というか、天候がシナリオ、キャラの心情描写に効果的に使われている。
凄く分かりやすい演出なんだけど、他作品だとそこまで見かけない気もする。
この作品の良いところは、
ヒロインが誰も無駄に消費されないところだと思う。
最初から最後まで、キャラの個性・シナリオへの絡ませ方を大事にしている気がした。
サブキャラも魅力的なキャラが居るので、本当無駄がないなぁと。
CGについて
凄く綺麗なんだけど、
キャラの造型はちょっと好みが分かれるかも?
目パチ口パクあるので好印象。
背景は割りと綺麗です。良いクオリティ。
BGMについて
良い意味で普通。
一部場面に合った曲を、演出的にかっこいいと言える使い方ができてる。
クリエイターがその部分に魂込めたなって分かるような。
その部分は高く評価したい。
システムについて
機能としては十分なんだけど、
セーブとロードの仕様が慣れないと分かりにくいかも。
- オートマタものやSFものが好き。
- 演出が良いゲームを探している。
- ある程度の長尺シナリオで、儚さもある作品が好き。
以下、ネタバレあり。
ネタバレあり感想
以下、個別下車順です。
弦馬 晶(CV:かわしまりの)
肉体派スーパーウーマンな感じ。
めっちゃワイルドな思考の教育実習生。
そんなだけど高所恐怖症。
かわしまりのさんはこういうキャラ適正本当高いと思った。
途中下車方式なので、構造上はこの人が最初のルートになる。
晶に感化された主人公は自分の意思でこの人を信じ、変わり出す。
ルートに入るのは最初だけど、
だからこそここで主人公の成長が描かれる。
ただ、今後の姫風露との関係とか、遊離って何だったの?とか、
このルートにおいては特にひなっていったい…ってなるので、まだまだ序章。
置き去りにされたヒロインズの事を考えなければ、
主人公、そして晶の成長物語ではあった。
まぁ、1本筋がある中でのひとつのエピソードなので、これはこれで〇。
セリフで何かちょいちょい英語挟んでくるのが何故かじわるw
久遠寺 ひな(CV:要しおり)
晶大好きな子。過剰なほどに。
ずっと病弱で家族からも捨てられてるも同然の可哀そうな子。
他にも不幸な境遇を持ち合わす、不幸の塊のような子。
この子の治療のプロセスの話は結構エグかった。
人体の76%を既に切除・交換済みって…。
晶ルートで結成した学園生活部、再始動の流れはグッときた。
このルートでの遊離はとても頼もしいね。
話自体は何かずっと暗い印象だった。
明るくなったり日常ももちろんあるけど、もう根っこが暗いので。
病院の屋上でエリーゼ達がひなが飛び降りる為の道を作って
柵をへし曲げたとこはちょっとゾッとした。
水城 遊離(CV:くすはらゆい)
すっごいめんどくさい女。
でも遊離の嘘つき設定を活かすストーリーは良かった。
日常会話はこの子とのシーンが一番面白かったかも。
キャラの性格もそうだけど、QPの存在も大きかった。
なんやかんやあって、
遊離を助けに入る主人公と姫風露カッコよかったなぁ。
そうなるだろうなぁと思ってたけど、演出がカッコよかった。
優灯からのメール云々関連のシーンも中々良かった。
その他にも、優灯が主人公と遊離の為に行動した軌跡があって、
良い演出だった。
優灯に対する遊離の思い違いの解消は
ちょっとあっさりし過ぎてたかも。
毒気が抜かれるのが早すぎたというか、
もう少しエピソードが欲しかった。
このルートのチェスの対局は
色々と裏に物語がこもってて素直にライターに感心した。
まぁ正直臭いけど、そこが良い点だったかと。
余談だけど、
この子のアフターのシーンは頭悪くて好き。
姫風露(CV:月野きいろ)
ひたすら癒しのヒロイン。
想いが通じ合った直後のテンパる姫風露はとても可愛い。
姫風露がいれば世界は閉じてても良い
→姫風露がいれば世界を変えられる。
この主人公の心情の変化が良いね。
海水浴のシーンで遊離がただのネタキャラと化してたのは面白かった。
晶 VS 姫風露のビーチボールもアニメのあるある見てるようでw
ただ単にこれをやったら多分寒いけど、
ここまでの話の積み重ねの中で
このシーンがあったので良かったのかなって。
純粋に、4人のヒロインズが仲良さげにしてるのが良かった。
ただ、姫風露のアフターで俺たたエンド感があったのは何とも…
割りと長いシナリオの最後にそれかい!だったら見せろ!ってなった。
それ自体は悪くない〆なんだけど…見たくなる魅力があるのだもの。
Final Chapter
構成的に、ここでまた晶を活躍させる構成は良いね。
晶は最初のルートだもんね。
姫風露との最後のチェスは演出は良かった。
チェスと言う題材があったから、
ここまでの演出ができたのかな、と。
ここで流れる挿入歌もかなり合っててカッコイイ。
個人的には姉エンドが好き。
エンドロールも無いけど。
姫風露のレイヤー0が完全なる空白だったっていうのは
ここまでを振り返ると、じわじわ来る感動ポイントだったかな、と。
姫風露含め、メインキャラたちが
それぞれの物語を歩き出したのは良い〆だったと思う。
ご都合エンドにも思えてしまうロリ風露。
姫風露がロリ風露になるフラグ立ててた遊離はエディテッドとしての頭脳を
最後までキャラ設定通りに発揮したんだと解釈した。
あの世界で「義体」というものが「人間に限りなく近い」のか、
「人間そのもの」なのか忘れたけど。
Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~ 感想 総評
他ではあまり見ない要素をシナリオに絡ませ、しっかり良い演出も付いている。
シナリオ自体はちょっとゴチャっとしてる感はあるけど、
ちゃんと読ませてくれる良いテキストだった。
「唇はね、心のドアなの」というある意味での名言を残して去った良作。
以上、Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~の感想でした!
挿入画像 FANZA GAMES より引用
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