
EX-ONEの「真夏の夜の雪物語 -MIDSUMMER SNOW NIGHT-」の感想、ご紹介です。
製品概要
- タイトル:真夏の夜の雪物語 -MIDSUMMER SNOW NIGHT-
- ブランド:EX-ONE
- 原画:みけおう
- シナリオ:サイトウケンジ / 深山ユーキ
- ジャンル:ADV
- 発売日:2011年12月22日
真夏の夜の雪物語 感想
あらすじ
6月中旬、すっかり真夏日よりになった炎天下の中。
トンネルを潜れば、そこは雪景色だった。一年中、雪が降り続けるという奇怪な現象に見舞われ続けている観光地・青女町。
そこは雪女伝説が今も根強く語り継がれている日本一不思議な町だった。温泉街やスキー場、ビーチなどもあり様々なレジャーが楽しめる町として有名であり、
また古くからの街並みや自然の多さからも人気のスポットとして楽しめる場所。
そんな町にある『青女学園』に、主人公である銀髪の青年・風祭夕也は転校してくる。親戚が経営しているペンション『スノーフレーク』に住むことになった夕也は、
これから不思議な出来事に遭うことになる少女たちと出会うのだった。幼い頃は明るかったのに、今はすっかりクールな印象になった
従姉妹の妹の風祭愛奈。幼い頃は男勝りだったのに、今はすっかり落ち着いた美人になった
従姉妹の姉の風祭衣。生真面目で融通の利かない、夕也を何故か目の敵にする
風紀委員長、秋ヶ瀬希美。そして、夕方の学園でしか出会えない
不思議な透明感のある少女、神城優樹菜。彼女たちが抱える不思議な『秘密』とはなんなのか。
そして、夕也はそれらをどう解決していくのか?雪が降る真夏日。
彼と彼女たちの『雪物語』が始まった。
公式サイトより引用
【EX-ONE】 真夏の夜の雪物語OPムービー
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
ファンタジーものですな。
舞台はずっと雪が降り続けている観光地・青女町。
でも寒いってわけでもなく、むしろ気温は季節に準じている感じ。
そこで不思議なアレコレが起こって…みたいなお話。
雪女伝説というものが語り継がれている町って設定だから、
広い意味では伝奇ものなのかなーと。
ゲーム起動すると勝手にOPというかプロローグが始まるわけなんだけど、
こういう演出良いなって思う反面、スタート押してから始まって欲しいとも思ったり。
シナリオへの期待感は高まるんだけど、勝手に始まんなよ!って。
プロローグ終わればタイトル戻れるけど、数時間はあるし、演出とユーザビリティの微妙な兼ね合いが難しいよねと思う。
そして、サブキャラ達が濃い。
面白さとウザさと寒さの中間辺りのテンションで、
一歩間違うと大火傷しそうな感じ。
日常は割りと面白味のある会話から寒いものまで取り揃えております。
パロネタもあったりなかったり。
キャラの個性をきちんと日常にも取り入れてるって基本的な部分はちゃんとしてる印象。
各ルート恋愛的な描写も結構丁寧に描いている印象があるので、
それはとても良い点だと思う。
それと、主人公が割りと煩悩塗れだけど、やる時はやる系のストレートな性格だから
ストレスフリーで楽しみながら読めるとは思う。
もちろん舞台設定に惹かれたなら、更に楽しんで読める作品だと思う。
のだけど、その舞台設定で損してる部分もあるんだよね。
それはネタバレ項目にて。
また、公式ページにおいてもエンドロールにおいても
各キャラの声優の公式発表がない珍しい作品でもある。
CGについて
絵柄自体は可愛い感じだけど、古臭さもある。
目パチ口パクありなのは嬉しい。
背景は結構良い感じ。
OPがフルアニメーションなのは素晴らしい。
BGMについて
時代的にMIDIっ気が強いかも?
音自体は別に悪くないし、曲も自然だけど。
『MIDSUMMER SNOW NIGHT』が好きだった。
システムについて
ちょっと不親切設計かも。
まぁ比較的古い作品だし仕方ないけども。
バックログジャンプ無し。
こんな方におすすめ
- ある程度の長尺シナリオで、儚さもある作品が好き。
- 何か謎が隠されてそうなシナリオが好き。
- 多少の悪ふざけは目を瞑れる。
以下、ネタバレあり。
ネタバレあり感想
多分、どのルートからやったかで全体の評価が変わると思う。
愛奈ルートとシンソウは一定の評価をしたいけど、その他は微妙だったので。
そしてシンソウをやって初めて各ルートの存在意義が出てくるのは…ちょっと遅いかな、と。
そういう構成にするには尺が長すぎた印象。
あと、おっぱいのサイズ感がおかしいです。w
以下、プレイ順。
秋ヶ瀬 希美
- ゲンジツ
優樹菜曰く。
- 希美も雪女的な何かかもしれない。
- ひとりで居るのは危険かもしれない。
- 主人公が助けになると思う。
等の理由で自然な流れで希美もスノーフレークの住人に。
うん、自然自然!
希美の結晶を破壊するって事案はあるにしても
主人公の気持ちは真っすぐだし、希美も結構良い子だよね。
番長 VS 委員長の構図も中々に合っていたように思う。
希美との仲が深まる様子も割りと丁寧に描かれてたかなと。
ただし、結晶を全部破壊したその後、町の秘密がどっか飛んでったのがなぁ…
結果、雪は降り続いてるみたいだし。
優樹菜はどうなったのだろうか。
- ゲンソウ
事あるごとに「別の〇〇」とか言ってたけど…
そういうことかと理解。
優樹菜だけは異なる時空を行き来できるってことなのかな。
プロローグで優樹菜は「わたくしはわたくしです。」って言い切ってるしね。
色々と話は深くなってたけど、
優樹菜が何故結晶を破壊したいのか、いまいち分からなかった。
しかし、こういう形の離別エンドは辛いけど良いね。
好物だ。
ゲンジツ・ゲンソウ共にひとつのシナリオとして見ればまぁ良い感じなんだけど、
シナリオ全体の核心や描きたいものがどうにもバラついた印象。
アフターではそう来るのねって思った。
優樹菜ルートありきの内容だから、評価が難しい。
後出しジャンケン感が凄い。
風祭 衣
- ゲンジツ
二つ目のシナリオだったからね、勝手が分かってる。
天女を否定したら現れた雪の結晶。
そういうことなのね。
名前も「衣」だしって思った。
結晶デザインがキャラ毎に違うのが地味に良い。
衣が海で溺れる→人工呼吸の流れはあったけど、
ここでも比較的丁寧に主人公・衣の恋の動きが描かれるのは良いね。
もちろん世界の謎も大事だけど、心理描写も大切にして欲しいものだからね。
愛奈を思っての衣の行動はとても共感できるものだった。
愛奈の衣を思う心、衣の愛奈の思う心。
良いよね、泣いちゃいそう。
何でも挑戦しようとするストレートな主人公も良い感じ。
編み物とかさ、あんま挑戦するようなシチュエーション無いよね。
とにかく、主人公の想いのストレートさが際立ったシナリオだったかなーと。
ただ、世界の秘密に関しては投げっぱなし。
- ゲンソウ
過去を振り返る構成良いね。好き。
ゲンジツとは変わって、衣が天女の存在を認めてるのが面白い。
さて、写真から消えた衣。
吹雪の中、倒れてしまう夢。
真実に立ち向かえるかどうかの主人公の自問自答。
この辺の流れは謎過ぎて、でも内容としては面白かった。
それと、真実を否定した時に結晶が現れるって設定がとても合うシナリオだったと思う。
結晶が出た瞬間、思わず「うわー…」って気持ちになった。
こういうシナリオ物の王道と言うか、
衣のことを皆が忘れていく、存在を認識できなくなっていくって展開は好き。
ただ、何故そうなっているのか、そういう核心が無いままなのは気になったかな。
それ自体が町の秘密なのだろうけど…最終的に何も解決されなく終わってしまうのがなぁ。
このルートは…どういう存在価値があったのか?
優樹菜を最後までやらないと分からないのがちょっと不親切かな、と。
アフターはちょっとうまくいきすぎって言うか。
分かるんだよ、分かるんだけど…ううん。
衣ルートの最後から、あっさり助かる展開がなぁ…
風祭 愛奈
- ゲンジツ
メインヒロインのようで、何かただのツッコミ役って感じの子。
この子を3人目にしたからか、また結晶について違った印象を持てた。
ただ、全部が全部結晶絡みになっちゃうので、いい加減違う展開も欲しかったと思ったり。
主人公の「番長」に対する思い入れは、このシナリオでめっちゃ伝わるね。
良い奴だね、主人公。
仮にこの世界(このルート)が誰かの見ている夢であっても、
それが証明されなければ主人公にとってはゲンジツである。
そんな優樹菜の言葉も非常に気になった。
まぁ結局はこのルートも秘密は投げっぱなしで。
ゲンソウが控えてるのが分かってるからこそ、ゲンジツ読むのがちょっと怠くなってきてしまう。
今までの結晶関連のことって、町の秘密じゃなくて全部個人の秘密・感情のことだったし…
さて、この先どうなるのかな?って思ったルート。
- ゲンソウ
番長部結成からの、町の秘密探索の流れは結構好きだった。
愛奈は既に願いを叶えた存在であり、
それが「昔は病弱だった」のに「今は元気」に繋がってくるのかなぁと。
と思ったけど、まさか2人に分裂してたとはね。
たまげたなぁ。
流れ的に雪女の神様的なのがいるのかもって話のあとに
もう一人の雪女の噂ってのは分かりやすい構成だったなぁと。
もちろん良い意味でね。
偽雪女捜索の際、優樹菜は「別の世界」ってはっきり言ったね。
やっぱ、どのルートでも優樹菜だけは同一人物なのだね。
愛奈が植えている花はルドベキア。
花言葉が英語でジャスティスになるのは笑ってしまった。
さすがにネタだったのか、愛奈は花の名前は天人菊と言ったけれど。
愛奈との恋愛面での表現は泣いちゃうね。実に良い。
ジャスティスの前で本音を叫ぶ場面も、それを聞き届けるジャスティスの笑顔が良すぎて、半分ギャグキャラなのに泣いてしまう。
何か、愛奈ルートだけに限る印象なんだけど、Key作品でありそうな展開だなって思った。
こっちの方がずっと作品的には古いんだけど。
サマポケプレイ済みの人に分かりやすく言えば鴎ルート的だったかなって。
未プレイの方はごめんしゃい。
そういうわけで、このルートはとても興味深かった。
展開的に好きな感じだったので。
アフターでの目覚めはあっさり風味。
何かが割れる音と天人菊の香りってのが意味深だったけど、意味深なままで終わって「?」だった。
神城 優樹菜
シンソウ編に入るアイキャッチで、プロローグって表記があったのはドキドキした。
今までのルートは優樹菜が観測した「可能性の世界」の話なのだなと思える…のかな。
とか思ったあと、すぐに『可能性の世界を渡る』と本編で出てそういう世界って確定した。
この後、またOPちょっと違うバージョンが流れるけど…
完全な2ndOPなら名作になれたかもしれない。
あとはこれ以外の各ルートがもう少しコンパクトにまとまってれば…ね。
ここで主人公ボイスがあるのは良い感じ。
最初は主に優樹菜視点になるからボイス当てたのかな。
で、優樹菜は全て知った上でこのルートが進んでくから、結構興味深い。
と言うか、このルートの為に今までのルートがあったと言って良い程かと。
トゥルーがあるシナリオには付きまとう問題だけど、この作品はそれが顕著だったなぁって思う。
その辺がマイナスポイントかな。
トゥルーの為の踏み台にしても他ルートの内容があまり良くないのに尺ばっか長かったってのがね。
結晶関連は流れがワンパターンになってしまったし、ゲンジツとゲンソウの良いとこ取りして、尺が半分くらいなら良かった。
上述した通り、個人的には愛奈ルートだけは良い感じだったと思うのだけどね。
最後の方の結晶を壊して回る流れは謎の感動があった。
最終的に優樹菜が光の中に消えた理由が分からなかったけども。
そこがもうちょいはっきり見えれば、めちゃくちゃ感動したと思う。
あと申し訳ないけど、エンディングのフルコーラス男Ver.は吹いたわ。
分かるんだけどね?不意打ち過ぎて笑っちゃったよw
みんながみんな幸せになったアフターは別に必要無かったかも。
シンソウで見たかった展開は見れたので。
真夏の夜の雪物語 感想 総評
プレイ時間:約30時間 | オススメ度:★★☆☆☆ |
不思議な感じのする世界観はとても良い。
良いのだけど…うまくシナリオに落とし込めなかった印象。
もう少しコンパクトにまとまってれば良作にはなり得たのかも。
とは言え、主人公がとても気持ちの良い男だからストレスは感じないし、
変人枠にも中々良いやつがいるから楽しいっちゃ楽しい。
舞台設定が気に入れば全然オススメは出来るんだけど、逆に言えばそこが気にならないと辛い作品だと思う。
以上、真夏の夜の雪物語 -MIDSUMMER SNOW NIGHT-の感想でした!
挿入画像 FANZA GAMES / 公式サイト より引用