首狩り女とは――
コットンソフトの「レコンキスタ」の感想、ご紹介です。
- タイトル:レコンキスタ
- ブランド:コットンソフト(アーカイブ)
- 原画:あんころもち / 笹井さじ
- シナリオ:海富一 / 秋津環 / 大月佑佑
- ジャンル:ミステリアス・恋愛ADV
- 発売日:2007年6月22日
レコンキスタ 感想
あらすじ
本州の太平洋沿岸に浮かぶ、海上ニュータウン――。
そこは国際的な新興住宅地として開発された人口島だったが、
今は見る影もなく寂れてしまった場所。そして現在、その街を舞台にして、
ある噂がまことしやかに囁かれていた。夜中にニュータウンの中をうろついていると、
槍のような刃物を持ったセーラー服の少女が現れて
首を刎ねられる――通称「首刈り女」と呼ばれるその都市伝説を巡って、
公式サイト(アーカイブ)より引用
人知れず物語の幕が上がる…。
レコンキスタ オープニングムービー
Ⓒコットンソフト
レコンキスタ ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
物語の舞台は海上ニュータウンという、国際的な新興住宅地として開発された人口島。
だが、今は見る影もなく寂れてしまった場所。そして、夜中には「首刈り女」が出現するという。
で、その「首狩り女」と「とある事件」に巻き込まれ、次第にその謎が明らかになって…みたいなシナリオ。
まず言っておきたいのは、この作品においてはエロはオマケ程度だと言うこと。
このゲーム、シナリオは死生観というものをこれでもかとテーマに掲げており、
シナリオに関係の無いエロ要素は一切排除している印象を受けた。
シナリオ形式は所謂ザッピングシステムと呼ばれるタイプ。
また、その為に一般的なエロゲにおける「主人公」が複数存在している。
シナリオの最後、つまるところ一切の謎を明かす部分までこのザッピングシステムが活かされている。
けれど、このシステムは選択肢によっては非常に分かりにくくなってしまう部分もあって。
色々なキャラの視点で同じ物語が語られていくのは興味深いのだけど、
シナリオ自体に劇的な変化は生まれないので、飽きる人は飽きる。
もちろん進行するほど新たな謎が解明されたりはするのだけど。
多角的な視点でひとつの物事を見ていく、そんな構成が好きなら楽しめる作品だと思う。
あまり重くはないけど、ホラー・ミステリアスの要素も好きならお買い得。
あとは作品内で年表というシステムがあるのだけど、作品内の時系列に沿ってそれぞれのキャラのサブエピソードが見れたりする。
見なくてもオールクリアに支障は無いのだけど、見れば更に作品を深く知ることができて個人的にはあって良かった機能かなと思う。
CGについて
今となっては中々年代を感じる。
あー。あの原画家の昔の絵か!って妙に納得する要素はある。
CG自体は綺麗だけど、そういうわけで好みは分かれそう。
背景は割りと丁寧。
BGMについて
曲によってはTHE MIDI!って感じで、音質に年代を感じてしまう。
ただ、曲の雰囲気自体は割りと良い。
特にシリアス方面のBGMは臨場感がある。
個人的には「歩く速さで」という日常?BGMが好き。
システムについて
バックログからのジャンプはなし。
その他、クリックでボイス継続オンオフ等もなし。
必要最低限の項目しかないけど、まぁ仕方ない。
みんなの声
良い意見:「レコンキスタ」は、死生観をテーマにした重厚なシナリオが高く評価されている。特に、終盤の伏線回収が見事で、感動的な展開に涙するプレイヤーも多い。複数の視点から物語が進行するため、キャラクターたちの内面や事件の全貌が徐々に明らかになる構成が好評だ。また、シリアスな雰囲気と緊張感のあるストーリー展開が、プレイヤーを飽きさせないとの声が多い。
悪い意見:一方で、物語のテンポや文章に関しては賛否が分かれる。特に、複数視点の進行がくどいと感じるプレイヤーや、主人公の存在感が薄いと指摘する声がある。また、悪役の描写が十分でない、または魅力に欠けると感じる意見も見られる。シナリオ全体がやや陳腐で、深みに欠けるとの批判もあり、期待していたほどの満足感を得られなかったプレイヤーもいる。
- 死生観を扱う作品が好き。
- 何か謎が隠されてそうなシナリオが好き。
- 演出が良いゲームを探している。
以下、ネタバレあり。
レコンキスタ ネタバレあり感想
序盤はXデーの18日前からカウントダウンしていく形。
ただ、そのXデーが何なのかは不明だからドキドキした。
OPの入り方がめちゃくちゃ良かったね。
暮葉が田村を薙ぎ払う瞬間にって。
汐見がもみじと暮葉の関係を知っていた理由。
そこをボカされるのはシナリオ的に致命的だったかなぁと。
どの話でも、シナリオのプロローグに繋がる構成は良かった。
ザッピングシステムの良い部分を最大限活かしたんだなって。
以下、つらつらと。
吉森 麻咲(CV : 羽沢月乃)
過去の紅葉との出会いなどの回想と、
現在の麻咲とのエピソードを絡めた構成は良かった。
槙野の心の移り変わりが見て取れたので。
また、槙野と紅葉の過去の話しを見れたのもシナリオ的に良い点。
主要人物のバックボーンを掘り下げるのは必要だし。
ああー、そういう状況だったのねって分かって面白い部分もあった。
例えば、麻咲が汐見の部屋で首を絞められて殺された際の状況とか。
もちろん先頃とは違う展開に続くけど、ザッピングならではの面白さかなーと。
しかしさ…
精神的に追い詰められてるのは分かるんだけど、
風呂場で抱き締めないと首掻っ切って自殺するヒロイン怖くない?w
春日井 詩菜(CV : 芝原のぞみ)
真帆子が失踪、それは…あっ;;;って思った。
学校での一幕で、麻咲が「カーリングの助っ人に行く」と言ってたけど…
ん?何故にカーリング?
どうでもいいとこで、ちょっと意味不明の話題混ぜるなぁって思ったよね。w
このシナリオでの汐見は普通に気持ち悪いね。
今までとはまた違った猟奇的な何かを感じる。
詩菜が悪魔憑きになってたのはちょっと想像できんかった。
素直にびっくりした。
このルートの結末。
思わず「すっげえなコレ」ってつぶやいてしまった。
悲劇過ぎでしょ…色々と。
ここまではどのルートでも、死生観、命の在り方についての話しだったけど、
これだけは異質で、繋ぐ命ってグッとくるテーマだった。
ただ、暮葉は人知れず朽ちたと思うとね…悲しいね。
繋がれた過去も、繋ぐ未来もないもんね。
40年前~
過去編、なのかな。
暮葉の当時の姿が見られるのは良いね。
十字架のネックレス…そういう…ああ泣けるなぁと。
並行して汐見と悠絵の話も語られるけど、
暮葉一家は予想通り怪しい感じで、
汐見一家は単に爛れただけで草生えた。
ただ、悠絵が心神喪失状態でドナーになったのだけは泣ける。
上条と暮葉
TRUEなのかな。
上条と悪魔憑きとなった暮葉の邂逅は泣けるね…。
しかも、上条は穏やかな余生を過ごしたいと思っていた矢先だっただけに。
上条の名前がずっと「義父」だったのはうまかったなぁと。
男キャラに声が無いから、名前が無くても違和感なかったんだよね。
最終的に上条が主人公だったんじゃないかと思った。
もみじから上条のライターを借り受け、
もみじにチョーカーを託す暮葉。
上条はもみじからチョーカーを受け取り…
この辺の描写はもう、ね…素晴らしいね。
真帆子さん
最後に読むことになるであろうこのシナリオでも
真帆子は一度殺されてて不幸すぎるヒロインだなぁと。
何度殺されれば気が済むんだっていう。
汐見の血で反魂の副作用が取り除かれるっていうのも、何かもやっとするし。
TRUEでは麻咲がヒロインのような描写が多いから、
ピンクじゃなくてこの子が正ヒロインなのかな。
最後にはもみじに「お母さん」って呼ばれてるし。
と言うか、槙野と麻咲、信哉と真帆子って構図かな。
こういう部分でもザッピングシステム、活きてるなぁと関心した。
信哉の無能加減は凄かったけど。w
反魂の法
作中では死んだ人の魂は残された者に受け継がれ生きていくと表現されている。
つまり、反魂の法は意味的にも文字通りにもそれに反するものであって、
結局のところ作中では否定されてるんじゃないかなって思った。
でも、大切な人を生き返らせることができれば…
という堂々巡りになっちゃうもんね、どこかで否定しないと。
レコンキスタ 感想 総評
「死生観」を扱う作品が好きな方はもちろん、
様々な要素が世界観の中で絡み合うシナリオゲーをお求めの方にもオススメ!
あとはこの作品のジャンル。
ホラー要素もちょっと混じった「ミステリアス・恋愛ADV」。
この要素が気になるなら、間違いなく買いの作品かなと。
以上、レコンキスタの感想でした!
挿入画像 公式サイト(アーカイブ)より引用
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