これは、己の運命と世界に挑み続ける1人の男の恋の物語――なのかもしれない?
ゆずソフトの「喫茶ステラと死神の蝶」の感想、ご紹介です。
- タイトル:喫茶ステラと死神の蝶
- ブランド:ゆずソフト
- 原画:こぶいち / むりりん
- SD:こもわた遙華
- シナリオ:天宮りつ / かずきふみ / 瀬尾順
- ジャンル:ADV
- 発売日:2019年12月20日
喫茶ステラと死神の蝶 感想
あらすじ
主人公、高嶺昂晴は何気ない学生生活を送っていた。
だがある日、不慮の事故で命を落としてしまう。
そこで予期せぬことが起きた。
死んだはずだった高嶺昂晴が、目を覚ましたのだ。しかもそれは──死ぬ当日の朝だった。
わけがわからないまま、もう一度、同じ一日を過ごす。
予知夢やデジャブのようなものではなく、一日の流れが全く同じ。
あまりの事態に恐怖を覚えながらも、死んでしまった、事故の場所を訪れた。
そして事故の瞬間──
彼は‘‘死神’’と‘‘人語を喋る猫’’と出会った。そして告げられる言葉。
「死はまだ回避できていません」
高嶺昂晴は死ぬ運命から逃れるために、死神の仕事を手伝うことになる。
その方法とは、何故か喫茶をオープンさせることであった。世界を巻き戻し、‘‘死’’という現実を乗り越えた、高嶺昂晴。
公式サイトより引用
だが引き寄せる‘‘死’’の因果からは逃れられない。
これは、己の運命と世界に挑みつづける1人の男の恋の物語──なのかもしれない?
喫茶ステラと死神の蝶 OPムービー
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
全体的には(不満点はありつつも)非常に満足いく作品だった。
いつも通りかゆい所に手が届く、抜群のシステム周り。
綺麗なCG、可愛い個性的なヒロイン達に、
役どころがきちんと与えられてるサブキャラ。
キャラソンや、アレンジBGM。
記事投稿現在のこの時期限定だけど、
冬前~バレンタイン付近への季節を考えた発売時期。
本当、凄く高いクオリティでありがとうございます。
ただ、シナリオについては…
今回はサブタイにも入っている通り、
「死神の蝶」というファンタジー要素がポイントになる。
で、設定を活かして頑張った感じは凄くするんだけど、
余計な物があると言うか…
一部のシナリオに「ええ?そういう展開で良かったの?」って
思ってしまう部分はあるわけで。
いつもの「中途半端なシリアス」をまた挟んでしまった感じで。
キャラゲー的な部分を軽視できない分、
シリアスな部分については振り切れない事情もあるのかもしれないけど、
今回のシナリオなら単純にお涙頂戴でも良かった気がする。
このメーカーがそういう事をするのが似合う、
似合わないに関わらずなのだが、
変な話、「死神の蝶」を活かすのであれば、
今回のような設定の場合はKeyのような感じに振り切っても良かったと思う。
とは言え、冒頭で述べたように全体的なクオリティはやはり高くて。
ゆず作品は初心者向きって結構言われるけど、
万人にオススメできるって点では本当オールマイティかなって。
CGについて
とても綺麗だった。
キャラデザも可愛く、背景関連も
十分に良いクオリティだったかと。
BGMについて
作品に合った良いBGMだった。
システムについて
必要十分。ある種の完成形では?
- 良くも悪くも王道を味わいたい方。
- ある程度の長尺シナリオで、儚さもある作品が好き。
- 絵が綺麗なら色々と許せちゃう。
みんなの声
良い意見:「喫茶ステラと死神の蝶」は、キャラクターの魅力が非常に高く評価されている。特にナツメや栞那といったヒロインたちが可愛らしく、彼女たちとのイチャラブシーンが楽しめるのが良いという声が多い。シナリオも安定しており、ファンからは「いつものゆずソフト」として期待通りのクオリティであると評価されている。また、カフェの雰囲気やコメディ要素がゲームの雰囲気を盛り上げており、全体的にプレイしていて楽しい作品との意見が多い。
悪い意見:一方で、シナリオ面での深みや新鮮さに欠けるとの批判もある。特に、ファンタジー要素が中途半端であり、現実世界を舞台にした作品の方が良かったという意見がある。また、一部のプレイヤーは主人公のキャラクターに不満を感じており、物語に入り込むのが難しかったとの指摘も見られる。シナリオ自体も「いつものゆずソフト」であり、特に突出した要素がないため、物足りなさを感じるプレイヤーもいる。
以下、ネタバレあり。
ネタバレあり感想
下記、ヒロインについては私の攻略順。
順序はそこまで問わないと思うのだけど、
カフェの話が中心になるナツメ、
物語の核心である「死神」の部分に触れる
栞那は終盤に残した方が楽しめるかも。
ルート全体については、
時事的なパロネタがあったり、
共通が終わって個別に入ると季節的に家具が変わったりしてるのが
細かくて良い演出だなと思った。
火打谷 愛衣(CV:音来内 麗)
左目が前髪で隠れてるのが特徴的な褐色女子。
理由は左目に「虫喰の瞳」、
または「虫籠の瞳」という蝶を捕える能力を持っている為。
物語としては、仲違いしてしまったけど救いたい友人を通じて、
その力との付き合い方を考えていく物語。
シナリオは平坦ではあるんだけど、
とにかく愛衣が可愛いのでキャラ振りした印象。
件の友人との出来事を通じて
愛衣が力との付き合い方を学び成長し、
それを解決することで、その先、延長線上にある
「人々を幸せにしていく」という目標に向き合う物語。
シナリオ自体は少し弱い気もするのだけど、
とにかく元気な愛衣のキャラパワーに楽しくさせられる、
そんな物語だった。
墨染 希(CV:上原あおい)
結ばれる前は幼馴染との難しい距離感を描く。
物語としては、出番の少ない
「巨大な赤い蝶」が登場する印象的なお話。
300年間続いた、母から娘への愛情のお話。
とても綺麗で少しウルっとしてしまう物語なんだけど、
ちょっと敵側と言うか、悪意を持つ側の存在の描写が
足りなかったかなと思う。
読んでいれば十分内容は理解できるんだけど、
300年という長い時間をかけて
「娘」を守り続けた「母」の物語としては
ちょっと描写不足かなと。
もちろん、「もっと」という個人的な印象・願望なので、
物語としては十分まとまっていて、
希の幼馴染ヒロインとしての魅力も十分。
ここでもやはり、「幸せ」というものがテーマにあるんだなって。
汐山 涼音(CV:木之 みき)
普段クールなお姉さんなのに帰宅するとずぼらだったり、
異性への耐性が全然無くて主人公と何かあれば悶えててギャップが凄い人。
CGの数とシナリオ尺から、
今回のサブヒロイン枠かな?と思う。
何より、この人に関する問題の根本的な部分は
共通時点でほぼ解決しているので。
ただ、他のルートでも常にカフェでは
主人公の上に立つ姉御でもあるので、
ヒロインとしては重要な立場を担っているなって。
姉御肌でヒロインの中では年長者で
しっかりしているけど、見た目的にロリ枠。
普段は姉御な癖に、即落ち2コマをやってくれた貴重なヒロイン。w
事情をそれぞれ個別に持ち越すヒロインの中で、
唯一根本的なものは既に片付いているので、そういう点では不安無く読めた。
四季 ナツメ(CV:夏和小)
中華マンの研究したりタコパしたり、
美味しそうな話だったな。
実は、共通の最初で主人公が事故死した時に、
事故の巻き添えで1回死んでいる。
それ以前の人生でも、
病気の為に入退院する生活をしていたので、生への執着が少ない。
故に、魂の力が弱いと。
未来に生きるのを諦めてた女の子と、
生きる為に未来を目指した男のお話。
カフェを開く大元にいるのがナツメなので、
きちんと最後までカフェ中心での物語が描かれたのは良かった。
そういう意味では、栞那の話を差し置いて、
ナツメのルートが正史なのかな?とも解釈できる重要なお話。
個人的にはこの話が1番好きだった。
明月 栞那(CV:麻倉 亞恋)
人との触れ合いを知らなかった死神ちゃんのお話。
作中での「死神」とは、生への執着を失ってしまった魂が、
生まれ変わる為に生への執着を取り戻すまでの仮の姿。
つまり、ここまで読んだ時点で、
どう考えても栞那は生まれ変わるために
消えてしまうことが予想できる。
栞那との約束は「生きている間は」永遠で、
主人公が栞那との約束を守って、幸せな人生を全うして…
ファンタジー要素があるのだから、その人生の末に、
天国で栞那と再会するとか、
そういう展開でも良かったのでは?って思うんだ。
実際、ルートの割りと序盤、
デート中に栞那は消えてしまう。
そこまでの展開は胸を打つものがあって良かったのだけど…
その先が個人的にはあかんかった。
ご都合主義で栞那が復活するのは全然良いんだけど、
そこまでの経緯があかんかったと言うか。
主人公がワガママ過ぎるし、栞那との関係において、
「性」を軽視し過ぎなシナリオなんだよね。
栞那が消える前に交わした「約束」を主人公が簡単に破る割りに、
栞那が復活した後も新たな「約束」を強調するシナリオ。
主人公お前、説得力ねーよって。
主人公の父と母の過去話も挿入されるけど、
その際に交わされた「約束」を
父は最後まで守ってるんだよね。
それ自体は「父は強し」「息子は未熟」って
対比なのかもしれないけど、
それでも主人公の決意、気持ちが軽く見えてしまう。
それがこのシナリオの最大のネックだと感じた。
まぁ、最後まで楽しみに残しておいたシナリオだから、
期待値込みでの評価にはなるけど…
あとは、ミカドの立ち位置。
栞那の本当の父親のようで、時に厳しく、
時に優しく、とても良い猫()だった。
喫茶ステラと死神の蝶 感想 総評
可愛いヒロイン、高水準なグラフィック、
素敵なキャラソン含む音楽、便利なシステム周りと。
シナリオは個人での好き嫌いがあって当然だけど、
全体的に見れば設定を上手に活かすシナリオ。
もちろん完璧ではないんだけど、
そこはキャラの魅力で十二分に補える、
今回も魅力溢れるゆずゲーだった。
エロゲ初心者、ゆず信者、特殊性癖をお持ちでない方、
割りと万人にオススメできる良作!
以上、喫茶ステラと死神の蝶の感想でした!
挿入画像 FANZA GAMES / 公式サイト より引用
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