どんな時も――夏の青さを、覚えていた。
Keyの「Summer Pockets REFLECTION BLUE」の感想、ご紹介です。
- タイトル:Summer Pockets REFLECTION BLUE
- ブランド:Key
- 原画:Na-Ga / ふむゆん / 和泉つばす / 永山ゆうのん
- SDイラスト:えんぎよし
- シナリオ:新島夕 / 魁 / ハサマ
- ジャンル:恋愛アドベンチャー
- 発売日:2020年6月26日
無印はプレイ済みなので、そういう視点の感想になります。
まぁ無印やってなくても別に困ることはないので、今作が初見でも問題ないかと!
周知のことかと思いますが、これは全年齢ゲーです。エロゲではないです。
Summer Pockets REFLECTION BLUE 感想
あらすじ
主人公である鷹原羽依里は、亡くなった祖母の遺品整理のために夏休みを利用して1人で鳥白島にやってきた。
1日数本しかない連絡船を下りたとき、1人の少女と出会う。
彼女は潮風に髪を遊ばせながら、遠くを…海とも空とも言えない境界線をただ眺めていた。
気がつけば少女はどこかへ行ってしまい、羽依里は狐に摘まれた気分になりながら、祖母宅へ向かう。そこではすでに親戚の叔母がいて、遺品整理を行っていた。
羽依里は、祖母の思い出の品の片付けを手伝いながら、初めて触れる「島の生活」に戸惑いつつも、順応していく。都会暮らしでは知ることの無かった自然とのふれ合い。
忘れていた懐かしい何かを、思い出させてくれるような、そんな生活だった。海を見つめる少女と出会った。
不思議な蝶を探す少女と出会った。
思い出と海賊船を探す少女と出会った。
静かな灯台で暮らす少女と出会った。島で新しい仲間が出来た――
この夏休みが終わらなければいいのにと、そう思った。
公式サイトより引用
Key『Summer Pockets REFLECTION BLUE』オープニングムービー
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
読んで字の如く、主人公が亡くなった祖母の遺品整理のために
夏休みを利用して1人で鳥白島にやってきた話です。w
無印プレイ済みとしては、最初から懐かしさで泣きそうになった。
Sea,You & Meを久々に聞いて浄化されてしまった。
純粋にね、良い作品だと思う。
丁寧に作り込まれてる感じを受ける。
無印をプレイ済みでも既存部分へ追加されてる部分だとか、
新しい発見がある。
新規で追加されたルートについても、
そういう感じでぶっ込んでくるのねって感じで新鮮な気持ちになる。
もちろん、初見さんは良い意味で
無印経験者とは違った視点でその全てを体験できる。
泣ける部分はそのままに、新しい味も入れ込んで。
でも、やっぱりそこに広がるのは変わらぬ楽しい夏休み。
初見の方は、是非ネタバレ無しで楽しんで欲しい作品。
キャラもサブ含め、色とりどりで。
ああ、こういう感じがやっぱり良いなぁって思わせてくれる。
良き夏のひとときを感じさせてくれる作品。
CGについて
背景丁寧だし、キャラも可愛い。
クオリティ高い。
BGMについて
良BGM多し。
相変わらずのクオリティで安心、耳が幸せ。
システムについて
バックログジャンプは
少しだけ飛び飛びになるけど、
まったく問題無し。
- ある程度の長尺シナリオで、儚さや泣き要素がある作品が好き。
- 演出が良いゲームを探している。
- 楽しくも切ない、そんな夏休みを田舎で過ごしてみたい。
以下、ネタバレあり。
ネタバレあり感想
まず既に鳥白島が懐かしく。
鏡子さんとうみちゃんとの出会いが懐かしく。
どすこいが懐かしく。
騒がしい蒼が懐かしく。
3番目に出会うのは腹減って倒れてた識。
ここは新鮮。
良一、ハイドロ嬢との出会いが懐かしく。
紬との出会いが懐かしく。
天善との出会い、卓球が懐かしく。
静久との出会いはそういう感じになったんだと新鮮で。
鴎との出会いが懐かしく。
今にして思えば、結構みんな出会いの時点から伏線撒いてたなぁって。
OP前のしろはとの追加されたと思われるシーンの地の文も良い感じ。
内容はネタバレ過ぎると思ったけど。
以下、個別攻略順。
※各感想は無印プレイ済みの視点です※
加藤 うみ(CV:田中あいみ)
うみちゃんの後を付けるシナリオは新鮮。
行動を見てると、確かにしろはを受け継いでるんだなぁって。
ため池で技名叫んでるのがしろはに見つかる逆バージョンも良かったね。
羽依里に「もっと子供のことを考えて欲しいのに」と言ううみちゃんが悲しいね。
そして羽依里がうみちゃんに
「俺がうみちゃんのお父さんの分も心配する」と言うのも悲しいね。
ここは知ってるか知らないかですごく印象の変わるシーンだったよね。
途中からは羽依里の再生物語に。
とても温かいお話。
夜には水の音が聞こえたからとしろはも来て、
過去に羽依里に受けたアドバイスをそのまま返したのは良い演出。
最後、うみちゃんは「お父さん、ありがとう」と言ったのだろうね。
未来で果たせなかった触れ合いを過去できちんとできて良かったね。
このシナリオから受ける印象って、
無印最後までやってるかどうかで変わると思うんだよね。
当たり前だけど、知ってればリアルタイムで思うことがあるし、
知らなければ最後までやった後に「なるほどね」ってなるし。
羽依里の自己再生って意味でも、うみちゃんは嬉しかっただろうなぁ。
野村 美希(CV:一宮朔)
少年団のお手伝いをするお話。
いつものパトロールに加えて、
のみきはいつか島の観光日誌を出版したいから島の魅力探し。
こうして見てると、のみきって島の愛されキャラなんだなぁって思えるよね。
ほっこりする。
途中途中、不穏なアイキャッチと夜なのにみんな朝だと振舞う超展開。
しかもみんなキャラ違うし…
えっ?ってごく普通に、素直に疑問に思った。
まぁ、シナリオの色は出たんじゃないかなと思った。
明かされる、のみきの捨て子だという身の上話。
島のみんなに育てられたという。
島の温かさと、のみきの恩返しがここで繋がるのがスッとする。
で、蝶の件もあって、蒼がシナリオの大事なとこに絡んでくる。
新規シナリオとして、
ちゃんと物語の設定をシームレスに絡ませてくれて良かった。
親子の理不尽な別れと、再会への希望の物語。
それこそが、羽依里への盛大なブーメランになっている印象のシナリオだった。
ただ、のみきは可愛いし、最後ぼかしたけど、良いシナリオだった!
挿入歌のタイミング、ばっちり。
エピローグでのみきの父母に対して、
「島の大人たちは静かに頷く」という地の文を見た時、泣いた。
父母含め、「みんな私の家族」と言ったのみきの言葉にも泣いた。
鳥白島がきちんとベースになる良いシナリオだった。
水織 静久(CV:小山さほみ)
拠点が海の家という夏要素は良かった。
無印の時は紬の良きお友達って印象しかなかったけど、
メインに昇格した途端に凄く魅力的に見える不思議。
静久の相談室に、過去の水泳部のことを吐き出す羽依里。
その時の静久の答えが心にしみた。
紬もかなり核心を突く相談してたなぁ。
静久から付き合ってみようという提案で付き合う流れの中で、
天善のヘタレ具合は中々面白かった。
静久は縁切りの猫の神様に見初められ、嫌な記憶を消す習性がある。
そうじゃないと心が平穏でいられないと。
曰く、夏休みに記憶の呪いがかかった女の子を助けるアドベンチャー。
まんまだなおいw
そこで、猫の神様より先に結婚してしまおうということで、結婚式をすることに。
結果、好きな人とか、そういう関係のことも
当時の静久は忘れるように願ってしまったから意味は無かった。
このくだりで、何度目かのキスと、何度目かの告白とか地の文があるのだけど…
それを描く過程が少し駆け足気味だったのが残念。
ただ、忘れられたかった羽依里、忘れてしまう静久、
忘れられたくない紬という、この組み合わせは良かった。
後付け感はあるけど、しっくりくる。
で、ご神体に触れて記憶を取り戻そうって流れになるんだけど、
そうなると当然消してた嫌な記憶も大量に戻るわけで。
何故最初からそこに気付かないのだろうこの人たち。
2回目の結婚式が紬の曲なのは色々とずるい。
このシーンで静久も紬も歯を見せて笑ってるの尊いわぁ…
夏休み最後の日にSea,You & Meが流れるのはとても良い選曲だった。
最後のぬいぐるみ、くまのぬいぐるみは反則ですよ…。
空門 蒼(CV:高森奈津美)
無印では鴎→紬→蒼と読んだので、今回は無印キャラでは最初に読もうかなと。
蒼のどのルートでもうるさいのにいい子なキャラ、本当好き。
終盤に主人公が見た蝶の記憶は、紬にも関することで。
空門の家がお役目をしている以上、
やっぱり蝶はこの物語全体の根幹に関わるものだなぁと思える。
あるタイミングで、無印では聞き覚えのないボーカル曲が。
新録かな?いいね。
感動するような、そんなしっとりな曲じゃなく、蒼らしく元気な曲で。
直後のシリアスとも対照的で、
プレイヤーとしては感情をどこに持ってったら良いか困惑してしまうけど。
その「落差」が狙いなんだろうけど、まぁばっちりでした。
蒼の恋の記憶という無印には無かった演出があって、
シナリオの泣きレベルは上がった印象。
あれ?無かったよね…?え?
蒼が眠ってしまってから蒼の為に羽依里が変わったというのは良い描写。
ここでは水泳に再度打ち込むような未来ではなかったけど、それでも。
この「蝶」の話を先に読むと、色々と理解が進むのだけど、
先に読むかどうかはプレイヤー次第。
無印の時はそこまで感動しなかったけど
今作は新たな描写もあって、良いレベルに引き上げられたルートになった。
紬 ヴェンダース(CV:岩井映美里)
約束されし神ルート。
個人的には前作のトゥルーより好き。
プレイ中、無印の結末を思い出して、
それだけで泣きそうになったレベルの泣きシナリオ。
楽しい時には鼻歌を歌う紬。
結構な場面で鼻歌歌ってる。
とてもかわいい。好き!
蔵で紬そのものの写真、
しかも下手すれば100年以上前の写真を見つけたことから、物語は動きを見せる。
神隠しから帰還後、鴎が「仕返しで自分も行方不明になるぞ!」的なこと言うけど、
笑えないんだよなぁ。
後半の、一週間で70年分の想い出をの部分はもう…ね。
挿入歌もあって、死にそう。
そしてこのシナリオの8月31日は本当に死ぬ。
個人的には、島を離れる時に女の子モブが
紬の歌を歌ってたところで限界超えた。
神山 識(CV:ファイルーズあい)
無印の時は鴎を最初に読んだので、しろはの前に鴎と決めていた。
鴎自体は好きだったから、読み順で印象がどういう風に変わるのかなって。
ので、新キャラの識をここで。
それにしても、この子は完全な新ヒロインなのに、ちゃんと溶け込んでるね。
加藤の家で寝泊まりするようになるのも、さすがの新ヒロインの貫禄か?
で、その正体は、神隠しにあっていた少女。
現代の識の行動によって現代の古文書が変わるという摩訶不思議。
これはどう説明づけるのだろうか。
蝶だけじゃもう無理だよね…?と思いつつ。
うみちゃんは未来から現代に来てたけど、識は過去から現代へ。
識が過去に帰らなければ島のみんなが死ぬという展開は、
露骨に泣きを誘ってるようで、なんだかなぁと…
元々既に良い泣きシナリオはあるんだから(主に紬)、
他の路線で攻めて欲しかった。
ただ、いつもちょっとした事で
「ぶぇぇぇぇぇぇ!」と泣き喚いて逃げてた彼女が、
決意と勇気を持って、立ち向かう様は中々のもの。
その上で、子供たちと鬼ごっこをしている時の満面の笑みを思い出すと、ね…
ま、なので、結局泣けるんだけど。w
識が、というか、神山が鳴瀬家や空門家と深く関わり、島を救った。
この設定だけで新ヒロインとして出しただけはあったと思えた。
まさか、夏鳥の儀が識由来の行事だったとは…ね。
悲しくも温かい、しっかりと無印サマポケに溶け込んだ、良いシナリオだった。
表のメインヒロインがしろは(羽未)なら、
裏のメインはしっかりと識が張ってくれるような、そんなシナリオだった。
キスをしたり、デートをしたり、明確な告白があったり…
そういうのは無かったけど、羽依里との絆を凄く感じた。
まぁ、一言で言えば、泣いた。
無印でうみちゃんや羽依里の関係性、しろはの向かう先を提示した以上、
過去にフォーカスしたのは良かったよ。
未来に関しては変わらない物語だから、
過去にひとつエピソード追加して、それを新ヒロインとしたのは良かったと思う。
(と、思ってた。Pocketで完全にやられた。)
九島 鴎(CV:嶺内ともみ)
無印では最初に読んだけど、RBでは最後にしたしろはの前に。
印象変わるかな?
まぁ、相変わらずミスリードが巧いシナリオだなぁと。
当時は「タカ」という幼少期の登場人物などから、
見事にミスリードされたもんだ。
凄く素直でまっすぐな鴎が可愛い。
メイド服の鴎は…ふぅ。ありがとう。
言ってしまえば、このルートもKey特有の不思議な話。
蝶が絡んでいるので、これまたなんとも言えないのだけど…。
島の皆と海賊船を整備しようという流れは別の意味で泣けるかな。
温かい気持ちに泣けると言うか。
鴎の現状とか、特有のファンタジーとか目をつぶっても、
それでも心動かされる、
夏の大冒険という大切なシナリオだったように思う。
無印より泣けた気がするのは気のせいだろうか…?
鳴瀬 しろは(CV:小原好美)
れいだーん!はやはり可愛い。
れいげんいやちこなれ!
初見さんはこの辺りでしろはのギャップを感じたのではなかろうか。
これは全ルートに言えるんだけど、何気ない日常会話、表現が面白い。
キャラの魅力をきちんと引き立ててる。
しろはの作るご飯はおいしいから、
うみちゃんにも食べさせてあげたいという表現よ…。
そして、しろはが羽依里とうみちゃんを見て、
どことなく似てると言う切なさよ…。
オオクワガタの流れ見て思ったけど、
うみちゃんの新規シナリオにもあったよね。
忘れてたけど、そういうとこ被せてくるの、好き。
ウミホタルのシーン。
しろは→未来に行きたい。
うみちゃん→過去をやり直したい。
この対比もまた、ね。
最後までやらんと分からんけど、
色々と伏線盛り盛りのシナリオなんだよね。
改めてやって、これもやっぱり良いシナリオだなと思った。
泣けるとかそういうのではなくて、普通に良い。
ALKA
うみちゃんが一緒の状態で島の面々と初対面するのは新鮮だね。
この周回では識の鎮魂碑がシナリオに登場して良かった。
うみちゃんとしろはとの釣りシーン。
うみちゃんは「かぞくでごはん」と言うけど、
いちいち刺さるんだよなぁ…。
魔法の絵日記の一連のくだりは、
今までのヒロインズ・島の皆が協力してくれる良い流れだよね。
うみちゃんの変化と同時に、しろはの変化も描いてるからうまいよね。
主人公側がループするんじゃなくて、
登場人物が過去に戻ることでループを繰り返して見ていたものが、
主人公視点のシナリオになっているのも良いよね。
すっごい今更なんだけど、うみちゃんの瞳の色、
しろはと羽依里の瞳の色を混ぜた色なのも良いよね。
ALKAの花火のシーンの追加CG、
うみちゃんがしろはを見上げて号泣してるやつ。
あれは…どうだろう、あってもなくても良かったかなぁ…
そこまで印象には残らなかった。
この話で特に感動するような要素は薄いというか、
今までが濃すぎたからなぁ。
結末に向かう為の話的な位置づけだし、まぁしゃーなしか。
うみちゃんが様々な人の記憶、蝶々に助けてもらいながら過去へ。
目的は、しろはの能力の発現の阻止。
母との楽しい夏休みを過ごし、今度は母を救うのだという尊い気持ち。
でも、過去に辿り着いた頃には心身の消耗が激しくて、
記憶も姿形も変わっていた…てことで良いのかな。
それにしても、最後の鏡子さんは何者なのか。
ただのブラフなのか、あるいは何か特殊な力を持っているのか…
全て知ってた上で、羽依里を島に呼んだのか。
蔵の整理を手伝うと言う羽依里を
「しばらく見つめる」という描写も意味深だったし。
鏡子さんはその時、あり得たはずの羽依里としろはとの出会いや、
それに影響されて島の仲間との出会いも改変されたことを考えていた?
しかも別れ際の「…これで良かったんだよね、瞳」ってセリフ。
瞳は蝶となって、しろはやうみちゃんとのことや一連のこと、
それを鏡子さんに伝えに来てたのだろうか。
ところで、羽依里と鴎が作った絵本、
最後の1ページはもうちょい破壊力があってほしかった。
個人的にはあの絵本の物語は精神的な部分で
鴎にも通ずるものがあると感じていたので。
その鴎との合作だから、もうちょい…ねぇ?
最後にアルカテイルはずるい。
シナリオは泣かなかったけど、その演出には泣いた。
その時は曲で泣いたけど、後に気付く。
歩き続けたことで、ついに届くんだね、って。
本当の最後のエピローグで不意打ちで識。
いやちょっと、油断してた。
識は聖域を行き来でき、羽未の長い旅の途中で縁を"むすんだ"存在でもあったね。
識がセンターだったのも、最後にうみちゃんを救う役目があったからかね。
とても納得できたし、それこそ羽未の長い旅路が終わって、
ここからまた3人で幸せになってほしいなって思えたよね。
綺麗な終わり方。
見たかった結末を見せてくれたけど、
島の面々とのその先も見たいと言う欲望が出る。
綺麗な終わり方をしたけれど、終わってほしくなかった。
そんな、夏の物語。
まぁ考察やら何やらってのは他の方がやっているし、
私は苦手なので置いといて…
ありのままに楽しめば良い作品だと思う次第でございます。
Summer Pockets REFLECTION BLUE 感想 総評
ちょっと懐かしみ補正も入ってしまったかもしれないけど、
この作品は自信を持って万人におすすめできる作品。
心に残る夏休みを、とても素敵な田舎の島で過ごしてみませんか?
きっと心に残るはず。おすすめです!
以上、Summer Pockets REFLECTION BLUEの感想でした!
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