
あっぷりけの「月影のシミュラクル −解放の羽−」の感想、ご紹介です。
製品概要
- タイトル:月影のシミュラクル -解放の羽-
- ブランド:あっぷりけ
- 原画:オダワラハコネ
- シナリオ:桐月
- ジャンル:約束を果たす純愛ADV
- 発売日:2017年1月27日
【萌えゲーアワード2017 話題賞 受賞作品】
月影のシミュラクル -解放の羽- 感想
あらすじ
――その館には、生きた人形が棲んでいる。
からくり師の一族である、如月家。
その分家である主人公――卯月誠一は、夏休みに合わせ故郷の街へをする事になった。この一族には、ひとつの秘密がある。
『如月の生き人形』と言われる、一族の開祖が使役していた、少女の人形<ヒトガタ>涙を流し、笑い、そして主人が亡くなる時に眠るように動きを止めたという。
そして誠一が帰郷する理由も、この『生き人形』と、それにまつわる『儀式』のためだった。久しぶりに帰ってきた故郷で出会うのは、幼馴染の少女達と妖<あやかし>の世界
辿り着く先は、果たして人の世か、それとも……。
公式サイトより引用
月影のシミュラクル-解放の羽- オープニングムービー
ネタバレ無し感想
※あらすじや体験版などで公開されている範囲はネタバレでないという認識です※
伝奇もの。
伯父が住む、生き人形が棲むという館へ、とある事情で主人公が赴く。
目的は過去の事件が元で大火傷を負い、
体が弱まる伯父に代わり、生き人形とのある儀式に参加すること。
だが、ただの人形であるはずの彼女があまりに人間的過ぎて…?
というお話。
まず、BGMがちゃんと仕事してる。
ここを満たせない作品って結構多いので、
凄く評価できる部分。
シナリオも順を追って伏線回収していく感じが良い。
ただ、物語の特性上
微妙にグロい表現(出血・切断)があるので、
苦手な方は注意。
ENDが結構あるのだけど、
フローチャートのお陰で回収は楽。
CGについて
可愛いものは可愛く、
不気味なものは不気味に。
クオリティは高い。
BGMについて
上述した通り、とても良いクオリティ。
システムについて
フローチャートは便利。
他も気になる部分はなかったように思う。
こんな方におすすめ
- 伝奇ものの作品が好き。
- サクッと読めるけど、内容も濃い作品探してる。
- 音楽の良いゲームを探している。
以下、ネタバレ有り。
ネタバレ有り感想
今作では攻略順が完全にコントロールされていたね。
途中、いくつかBADやノーマルがあるけど、
どれも無駄な数増やしでは無いと思った。
以下、アンロック順のキャラ別。
初回BAD
もうね、何も救いがないルートだったなと。
謎は何も判明しない、伯父は刺殺される、サエさんは自殺する、
一葉は誠一と生きて帰るけど心に深い傷を負う、
零は館爆破でクロコゲに。
その後、館爆破から生き残っていた紅が
誠一の住む町に現れてEND。
この時点では誠一と紅の過去の邂逅の話や
紅の行動原理など何も判明していないので、
何とも救いのない不気味な印象を受けるルートだった。
なお、このENDでOPが再生される流れはとても良き。
野上 美優(CV:桜乃ひよ)

初回BAD後の事件の後のルートなので、
美優の明るい感じは助かった。
とても可愛い子なんだけど、
関係を掘り下げる時間も関係が深まる過程も描く時間は無く。
メインのようで、サブな子。
事件をダシに、傷付いた心を舐め合う的に
イチャコラした感はどうしても拭えない。
で、あっさり不幸になって終了。
選択肢で美優と付き合っても付き合わなくても
紅に殺される誠一くん、やばない…?
水無月 一葉(CV:桃山いおん)

ちびっこメイドちゃん、果たしてその正体は。
突然誠一に頼み事をしてきて
Hをした上で内容を聞くか、
全て忘れて無かったことにするかの
2択を迫るサイコパス女だった。
ENDは2通りあるのだけど、
正直、展開が意味分からない。
まぁ、ノーマルとBADか、
どっちもBADかは感じ方によるのかね。
一葉死亡ENDでは最後に紅が自らに問いかけ、
自らの境遇に苦しむ描写が入ったけど、
この先の紅に対するプレイヤーの
印象操作的な表現だったのかも。
如月 零(CV:春乃いろは)

ここら辺から今までの伏線が
ばりばり回収され始めていく。
素直に気持ちいい。
一葉は街に避難し、安全をゲット。
が、一葉を街に送り届け、
戻る途中に零が初回BADに引き続き
館爆破アゲインENDは好きだった。
紅もね、絶対悪じゃないんだよね。
自らに向けられた感情を
鏡のように相手に返してしまうだけで。
そのカラクリだけで、
今までの全ての紅の行動がストンと腑に落ちる。
燃える館で零が逃げないと思えば、
紅も当然同じ感情になって逃げることはできない。
零が誠一を助けたいと願えば、
紅もそのように行動する、など。
誠一が地元に戻って、
近所と見られるバス停でバスから髪の長い、
零と似ているような女性が降りてくる描写があるけど、
もちろん零でも紅でもない。
これはちょっと切なかった。
如月 紅(CV:春乃いろは)

前半は完全に悪役だけど、
終わってみればこの作品のメインヒロイン。
途中までは零のトゥルーだと思ってたけど、
これは紛れもなく紅の為のお話だったなと。
そんな紅と誠一は実は過去に出会っていた。
このルートで紅と行為に及んだ(襲われた)背景には過去の約束が絡んでいた、と。
誠一から精を吸い、一時的に木彫り人形ではなく、
人としての身体に変貌していく紅との時間を過ごし、
誠一は神と人との関係を今一度見直そうと決意する。
からの流れでの、
紅の蜘蛛神の力を受け継いだ誠一は、
敵対する人間を切り裂くスパ〇ダーマンとなるのであった。
ここまで来て闇墜ちENDいっすね!
(いや最後、割りとマジで結構いい)
もう一方の種族の垣根を超えた悲恋の話の象徴として
夏祭りで祭られる様になるEND。
犠牲は出ず争いも終わるので、
これもある意味良いENDではあると思う。
蜘蛛神と戦って、決着後に紅が「人」になれるEND。
これは紅メインヒロイン面しないで!って批判出るのは
今までのルート見てると分かる気はする。
紅アフター
これがあったの嬉しかった。
一応紅が攫われるなんて事件も起きるけど、
館や蜘蛛神との出来事に比べたら凄く平和で温かい世界。
これから人として生きていく紅の希望に満ちた終わり。
個人的には凄く良い〆だと思う。
いっそのこと美優も一葉もサブにして、
零と紅だけにしてしまっても良かったかもね。
月影のシミュラクル -解放の羽- 感想 総評
プレイ時間:約11時間 | オススメ度:★★★★☆ |
とても良い伝奇もの。
とは言え、やはり一部キャラルートの不遇っぷりは凄い。
次が気になる展開の作りは凄く良かった。
ある意味1本道になってしまうけど、
今作ではその作りが活かされていたように思う。
以上、月影のシミュラクル -解放の羽-の感想でした!
挿入画像 FANZA GAMES より引用